生成人工知能強化に伴う再編施策が加速
米マイクロソフトは7月2日、従業員の約4%に相当する9,000人の人員削減を発表した。これは5月の約6,000人削減に続くもので、AI分野への重点投資を背景に、社内の体制刷新と経費の見直しを進めている。削減は複数部門にわたり、大規模な構造改革と位置づけられる。
営業・ゲームなど複数部門に影響が拡大
今回の削減は、営業部門やゲーム関連の部署を含む幅広い領域に波及する見通しで、地域的にもグローバルに展開される。マイクロソフトは声明で、「急速に変化する市場環境で生き残るため、必要な体制変更を行う」と述べた。特定の分野に限定されないことから、全社的な構造転換の一環として位置づけられている。
コロナ禍後の採用拡大が縮小要因に
IT業界に詳しい専門家によれば、マイクロソフトは2020年以降のパンデミック期に需要増を見込み、積極的な採用を実施していた。だが、その後の需要の落ち着きにより、従業員規模の見直しが続けられているという。2024年6月末の時点で、同社の総従業員数は約22万8,000人に達しており、今回の削減はその適正化の一環とされる。
データセンター整備などAI投資が背景に
マイクロソフトは現在、生成AI分野の強化に注力しており、データセンターの拡充やアプリ開発への巨額投資を進めている。その影響で、既存の業務構造では対応が難しい場面が増え、組織再編が避けられない状況となっている。この動向は、企業全体がAI主導の時代へと本格的に移行している証左といえる。
今後も続く可能性がある組織改革の行方
今回の人員削減は、AI投資のための資源再配分という文脈で語られているが、マイクロソフトにとっては長期的な構造改革の一環とも受け取られる。特にグローバル規模での業務効率化と、技術革新への適応が求められる中、今後も同様の施策が続く可能性は高い。企業の成長戦略と人材戦略のバランスが問われる局面となっている。