社債スキームを通じた資金の流れが焦点に
実業家の前澤友作氏が関与する資産管理会社を巡り、東京国税局が多額の申告漏れを確認した。対象となったのは東京都港区の「グーニーズ」で、社債利子の会計処理が調査の中心となった。
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経費として計上された利子の受け取り先を調査
2021年3月期に発行されたこの社債は、都内のコンサル会社が全額を引き受け、その後グーニーズから約2億円の利子を受け取っていた。これをグーニーズ側は経費として申告していた。
ところが、このコンサル会社がさらに社債を発行し、それを前澤氏の知人が購入。その結果、利子は最終的に知人の手に渡る構図となっていた。国税局はこの仕組みに注目し、資金の流れと実質的な受領者を分析した。
贈与税回避とみなされる可能性を指摘
前澤氏がこの知人に直接金銭を渡していた場合には最大で55%の贈与税が課されるが、社債の利子として処理すれば15%の源泉徴収で済む。この点について国税局は不当な節税策と見なしている。
また、知人は前澤氏に養育義務がある子の母親であり、税務当局は養育費の一環としての資金提供が装われた可能性も考慮に入れている。
追徴課税は発生せず、謝罪と再発防止の意思表明
指摘された申告漏れ額約4億円のうち、税務上の赤字などとの相殺により追徴課税は発生していない。ただし、前澤氏は「私は納税義務から逃げも隠れもしない。今後はより一層適切な納税を心がける」とのコメントを公表し、謝罪と再発防止の姿勢を示した。
税理士の関与と資産運用の透明性が問われる
今回の社債スキームには前澤氏の税理士が設立に関与したコンサル会社が関係しており、経理処理の妥当性に疑問が投げかけられている。グーニーズ側は「複数の税理士の助言に基づき適切に修正申告を行った」と説明しているが、富裕層の資産管理と節税手法の透明性が今後の課題として浮き彫りになった。