モロッコでの初案件が2025年度中に始動へ
旧日立造船から社名変更したカナデビアは、2025年度中にモロッコでごみ焼却施設の建設事業に着手する方針を明らかにした。これは、埋立処理から焼却処理への転換が世界的に進む中、特に今後の市場拡大が見込まれるアフリカ地域への本格進出となる。焼却処理の効率とコストの両立を重視し、技術と制度を組み合わせた収益モデルを導入する計画だ。
カーボンクレジット制度を経済性確保に活用
カナデビアは、焼却に伴う二酸化炭素排出量の削減効果を「カーボン・クレジット」として活用し、焼却コストの相殺を目指す。現地でのごみ処理は埋立方式の方が短期的には安価だが、同社は「総合的には負けない仕組みを構築できる」とし、経済性と環境負荷軽減の両立を図る構えだ。脱炭素時代の新たな収益源としても期待される。
海外売上比率を60%超へ引き上げ方針
現在、カナデビアの海外売上比率は約50%だが、今後は「最低でも60%以上を目指す」とし、アフリカ展開をその戦略の柱と位置づける。欧州やアジアで培った焼却発電の技術や運営ノウハウを活かし、積極的な受注活動を展開する見通しだ。アフリカは都市化の進展により、廃棄物処理インフラの整備が急務とされている。
船舶用エンジン不正への対応も加速
一方、2023年7月以降に相次いで発覚した不正問題について、桑原道社長は「不適切な行為が常態化していた」と過去の体制を認め、改めて謝罪。船舶用エンジンの開発・製造部門では慢性的な人手不足が背景にあったとして、再発防止に向けた体制強化を急ぐ。2026年度末までに人員を1割以上増加させると表明した。
処遇改善で働きやすい組織づくりを推進
グループ全体では人事制度改革を通じて、給与水準の引き上げや職場環境の改善を進める。桑原社長は「コンプライアンスへの投資が不十分だった」とし、今後は持続可能な企業体制の構築を目指すとしている。人材確保と定着を両立させることで、不祥事の再発を防ぎつつ事業拡大にもつなげたい考えだ。