海自隊員への物品提供不正が長期にわたり判明
防衛省は7月30日、海上自衛隊と川崎重工業の間で行われていた不適切な物品提供や接待に関する特別防衛監察の最終報告を公表した。調査の結果、40年以上にわたり裏金による不正行為が継続していたことが確認された。川崎重工は架空取引を通じて17億円の裏金を捻出し、隊員にゲーム機や腕時計などを渡していた。
三菱重工など3社でも不正行為を認定
最終報告では、三菱重工業、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)、佐世保重工業の3社でも不正が発覚した。これらの企業は海自隊員の要請に基づきモニターや椅子など艦内備品を提供していたと認定された。これらの行為に関連し、隊員は虚偽の工事指示書を作成していたことも明らかになった。
90人超が処分対象、防衛省幹部にも厳重注意
防衛省は今回の不祥事に関与した隊員92人に対して訓戒や注意を含む処分を実施したほか、海上自衛隊トップである斎藤聡海上幕僚長に対して1か月間の減給処分を科した。また、増田和夫事務次官も監督不十分として口頭厳重注意を受ける結果となった。
防衛相と海幕長が相次いで陳謝を表明
中谷防衛相は同日、防衛省で記者団に対し「信頼を失墜させた行為は到底許されず、深くおわびする」と謝罪した。さらに、斎藤海幕長も臨時記者会見を開き、「期待と信頼を大きく損なった」として責任を認め、現場改革を進める姿勢を示した。
再発防止策の徹底を指示、防衛省の対応強化
中谷防衛相は再発防止に向け、内部指導を強化するよう指示した。特別防衛監察は、今回の不祥事は海自側の要請に端を発したと指摘しており、防衛省は組織全体での監視体制強化を求めている。今後は現場レベルでの不正防止策の実効性が問われる見通しだ。