投資不動産売却に向けた交渉が進行中
サッポロホールディングスは、不動産事業の見直しに着手し、保有資産の一部売却に向けて複数の候補企業との協議を続けている。これには国内外の企業や投資ファンドが含まれ、今年に入り提案内容の絞り込みが行われた。交渉は現在も継続中で、慎重な精査のうえ最終判断に向かっている。
中核物件「恵比寿ガーデンプレイス」などが対象
売却候補として名が挙がっているのは、同社の全額出資子会社サッポロ不動産開発が保有する複合施設群である。「恵比寿ガーデンプレイス」や「GINZA PLACE」など、都内の一等地に位置する商業施設が含まれており、これらの不動産の価値は2024年末時点で公正価値ベース約4,029億円とされている。
売却資金はビール事業の成長投資に転用
サッポロホールディングスは、不動産売却および外部からの資本導入によって得た資金を、酒類分野のM&Aや投資に活用する計画を打ち出している。主力であるビール事業への注力を強め、中長期的な事業基盤の強化を図る考えだ。
決算発表で方針の時期を明示
2025年1〜6月期の決算説明会において、松出義忠専務は「検討には時間を要しており、結論は11月から12月頃になる見通し」と言及した。これまでは年内という表現にとどまっていたが、初めて具体的な時期を示したことで、不動産事業改革の道筋がより明確になった。
減益の中でも事業利益は大幅増
サッポロHDの2025年上半期連結決算では、純利益が17億円に落ち込み、前年同期比で71%の減少となった。これは、味噌関連事業の売却に伴う特別損失と、円高による為替差損の影響によるものだ。一方、事業利益は69億円と前年同期比で96%の増加を記録し、営業面では収益力の改善が見られる。ただし、企業全体としてはなお課題を抱えており、構造改革の取り組みは道半ばといえる。