AI戦略の一環として米半導体産業を支援
ソフトバンクグループは8月19日、米半導体大手インテルに20億ドル(約2960億円)を投じると明らかにした。取得するのは普通株式であり、発行価格は1株当たり23ドルとされる。今回の出資は、AI分野を中核事業に据える同社の成長戦略に沿ったもので、米国内の最先端半導体生産体制を後押しする狙いがある。
孫正義氏、半導体の重要性を強調
ソフトバンクの孫正義会長兼社長は「半導体は産業全体の土台である」と強調し、AI社会に欠かせない先端半導体の安定した供給を後押しする考えを示した。インテルはAI向け半導体分野での競争で後れを取り、経営再建が急務となっているが、今回の出資はその立て直しに寄与することになる。
米政府による追加支援の可能性
米ブルームバーグ通信によれば、トランプ政権がインテル株式のおよそ10%を取得する方向で協議しているという。仮に実現すれば100億ドル規模となり、米政府が筆頭株主となる可能性も指摘されている。経営難に直面するインテルを国内政策として支援し、半導体産業の競争力強化を狙う動きとみられる。
大規模AI投資「スターゲート」構想と連動
ソフトバンクはすでに「スターゲート」と名付けたAI関連の大規模投資計画を発表しており、今後4年間で5000億ドル(約76兆円)を投資する方針を示している。オープンAIやオラクルとの提携に基づくデータセンター建設など、AIインフラ整備の推進も進行中で、今回の出資はその延長線上にある。
半導体供給網強化への期待
インテルは2024年に巨額赤字を計上し競争力低下が課題となっているが、ソフトバンクと米政府の関与により、米国内の半導体生産体制は新たな局面を迎える可能性がある。AIや次世代産業に欠かせない半導体供給を安定させることで、世界的な技術競争の中で優位を確保する狙いが浮き彫りになった。