ゲームアイテムが返礼品に選ばれた背景
MIXIは、スマートフォンゲーム「モンスターストライク」のゲーム内通貨「オーブ」を渋谷区のふるさと納税返礼品に設定した。寄付額に応じ、1万円で50個、3万円で150個、5万円で250個のオーブが受け取れる。利用者は複数のふるさと納税サイトを通じて申し込むことが可能となる。
渋谷区とMIXIの協力関係
渋谷区とMIXIは2023年に地域課題解決を目的とする協定を締結しており、今回の取り組みはその一環とされる。MIXIは本社をJR渋谷駅前に構えており、地域との結びつきを強める形で返礼品を展開する。これにより、地域資源に基づいた新しいタイプの返礼品として注目されている。
ゲーム市場が直面する現実
スマートフォン向けゲーム産業は、縮小する市場規模と増大する開発費用に直面している。国内市場は2019年の1兆3530億円から2024年には1兆105億円へと減少。1タイトルあたりの開発コストは約5億円に上り、安定した収益を維持するのが困難になっている。スクウェア・エニックスが「星のドラゴンクエスト」など人気作の終了を発表したことは、その象徴的な出来事だ。
総務省の判断と懸念
総務省は返礼品認定の基準について「区域内で付加価値が生じている」との判断を示した。しかし、ゲーム内通貨を返礼品とすることに対し、ガチャ利用による浪費の可能性や、他のアプリ通貨にも拡大しかねない懸念が指摘されている。担当者は「定義の整理が必要」とコメントし、今後の議論が注目される。
業界の新しい模索の行方
渋谷区とMIXIの試みは、停滞する業界における新たな収益モデルとしての側面も持つ。ふるさと納税を通じて全国ユーザーとの接点を広げることで、地域振興とデジタルコンテンツ産業の双方に波及効果をもたらす可能性がある。だが、その一方で制度の健全性を維持するためのルール整備が不可欠となっている。