次世代エネルギー開発に日本勢が参画を発表
米国の「コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)」は9月3日、東京都内で開いた記者会見で、日本の大手企業12社から出資を受けたと発表した。三菱商事や三井物産、関西電力、NTTなどが参加し、出資額は数十億円規模に達すると見込まれる。核融合発電をめぐる開発競争が国際的に加速する中、日本企業が積極的に関与する体制が整った形となった。
巨額調達でCFSが示した成長戦略
同社は今回、日本企業を含む投資により8億6300万ドル(約1300億円)の資金を確保したと説明した。CFSは2018年に創業し、これまでに総額4000億円以上を調達済みである。今回の出資を追い風に、27年の米マサチューセッツ州での実験炉建設や、30年代に計画されるバージニア州での送電開始へ備える狙いがある。
日本企業のねらいと技術獲得への期待
出資した日本企業は、資金だけでなく人材の提供を通じて開発を後押しする方針だ。商社や電力会社は、核融合の商業化を後押しすることで自国のエネルギー安全保障を強化するとともに、先端技術の知見を取り込むことを重視している。三菱商事の平田智則・電力事業開発本部長は「最先端のプロジェクトに加わることで、課題を早期に把握できる点が重要だ」と強調した。
CEOが語る日本との連携の重要性
会見したボブ・マムガードCEOは「新しい産業の創出には多様なスキルの結集が欠かせない。世界各地で発電所を建設するにあたり、日本企業の参加は極めて意義がある」と述べた。日本勢の関与は、単なる出資にとどまらず国際的な事業展開における信頼性向上にもつながるとみられている。
国際競争の中で問われる日本の役割
核融合発電は二酸化炭素を排出せず、使用済み燃料の課題も少ない次世代エネルギーとして注目される。欧米や中国が研究開発を急ぐ中、日本企業の出資は世界的な競争での存在感を確保する一手となる。政府も30年代の発電実証を目標に掲げており、民間との連携がカギを握る局面に入っている。