新興企業の資金調達環境を改善する動きが進展
りそな銀行は、2029年3月期までに新興企業向け融資を累計1000億円規模に拡大する方針を打ち出した。従来の約58億円から17倍に増やす計画であり、国内のスタートアップ資金調達不足を補う狙いがある。岩永省一社長は「日本に不足しているのは新興企業の成長力」と述べ、銀行もリスクを引き受ける必要があると強調した。
AIを活用した審査と外部人材の採用が進む
融資拡大に向けて、AIを活用した審査システムを導入し、外部企業との提携を進める。これにより、迅速かつ精度の高い判断を実現し、デフォルト率を抑制する仕組みを整える方針だ。あわせてベンチャーデット分野で経験豊富な人材を外部から採用し、体制強化を進めている。
上場偏重から多様な成長戦略への転換が進展
国内の新興企業は依然としてIPOを主要な出口と位置付けるケースが多い。りそな銀行はこの状況を変えるため、M&Aや事業売却など複数の手段を活用した成長支援を進める構えだ。営業部門と協力し、大手企業との接点を拡大していく考えである。
LBO融資市場参入で再編支援を強化
M&Aが活発化する中、りそな銀行はあおぞら銀行などと共同でLBO融資ファンドを立ち上げる。買収先企業の資産を担保とする手法は従来、大手行に偏っていたが、地方銀行も参加可能とし、市場の健全な発展を後押しする。7月には運営会社「日本プライベートクレジット」を設立し、ファンドの規模を具体化している。
社会課題解決と経済成長支援に意欲
岩永社長は、ベンチャーや中小企業の成長を「社会課題解決や経済成長につながる取り組み」と位置づける。今後施行される事業性融資推進法により、無形資産を担保とする融資が可能となることから、再成長を目指す中小企業にも対応を広げる構えを見せた。
