市況悪化で統合決断に至った背景
三井化学、出光興産、住友化学の3社は、ポリエチレンやポリプロピレンを含む「ポリオレフィン」事業を統合することで合意した。発表は9月10日に行われ、統合の実施は2026年4月を予定している。背景には、中国の過剰供給による価格下落や需要減少があり、国内石油化学業界全体が収益力を落としている状況がある。
合弁会社への住友化学参入が判明
三井化学と出光興産は既に合弁会社「プライムポリマー」を運営しており、今回そこに住友化学が合流する形で統合が実施される。統合後の出資比率は三井化学が52%、出光興産が28%、住友化学が20%と設定され、3社による協力体制が整う。これにより国内市場で3割超のシェアを持つ大規模事業体が誕生する。
生産設備の集約と合理化を発表
事業統合後には、ポリエチレンとポリプロピレンの一部生産設備を停止する方針が明らかにされた。生産能力の見直しにより効率化を図り、国際競争に対応する体制を整える。国内全体のポリオレフィン生産能力は約583万トンとされており、統合後の新体制はその中でも大きな割合を担うことになる。
雇用維持と産業全体への影響
今回の統合により雇用への影響はないと説明されている。しかし、統合規模が大きいことから、国内石油化学産業の再編に波及効果を及ぼす可能性がある。実際、エチレンなどの基礎原料でも生産設備集約の動きが加速しており、今回の統合は業界再編の一環とみられる。
企業トップが語る事業基盤強化の姿勢
三井化学の橋本修社長はオンライン会見で「他社との協力により、事業基盤を強化する段階に入った」と強調した。さらに「高収益な事業体制を目指し、スピードを持って実現する」と述べ、今後の競争力向上に意欲を示した。
