家計を直撃するエネルギー・食品の価格上昇が明らかに
2025年4月より、電気・都市ガス料金および食品価格の大幅な引き上げが実施された。政府のエネルギー補助終了に伴い、電気代は標準家庭モデルで月額9031円と、前月比436円の増加となった。さらに、調味料や冷凍食品、酒類を含む4,000品目以上の食品が値上げ対象となっており、家計への圧迫感が一層強まる見通しだ。
この背景には、原材料費や物流コストの上昇があり、ビール大手4社も値上げを発表している。消費者は日常生活で多方面にわたる物価上昇と向き合うこととなる。
教育費支援の拡充で高校無償化が全世帯に拡大
一方で、教育費に関する負担軽減も図られている。高校授業料の無償化対象が拡大され、所得制限(年収910万円)を撤廃。2025年度からは国公私立を問わず、すべての高校生に年間11万8800円の就学支援金が支給される。
この制度改正により、実質的に公立高校の授業料が全世帯で無償となり、教育の平等性が一層進展することが期待される。背景には与党と野党の一部の合意形成があり、国民生活の基盤強化を目指した施策となっている。
育児と介護の両立支援が制度面で拡充された影響
改正育児・介護休業法の施行により、企業における男性の育児休業取得率の公表義務が、従来の「従業員1,001人以上」から「301人以上」へと拡大された。これにより、中堅企業にも育児支援の姿勢が求められるようになる。
また、「看護休暇」の対象に学級閉鎖や入学式などが追加され、柔軟な働き方の実現に寄与する。さらに、夫婦がともに14日以上の育休を取得した場合、最大28日間の手取り100%の給付金が支給される新制度が導入された。
年金支給や社会保障制度の見直しが進む影響
公的年金の支給額は前年度比1.9%引き上げられたが、「マクロ経済スライド」の適用により、実質的な購買力は物価上昇に追いついていない状況にある。一方、国民年金保険料も月530円増の1万7510円へと改定され、賃金上昇に伴う負担が増加している。
こうした見直しは高齢者世帯や自営業者にとっては生活設計に影響を及ぼすものであり、将来の年金制度の持続性と受給者の安心の両立が問われる。
新たな企業義務とデジタル分野の制度改正が注目
建築分野では、新築住宅に対し省エネ基準の適合が義務化された。断熱性能やエネルギー効率の確保が求められることで、今後の住宅価格に影響が及ぶ可能性がある。
また、SNS事業者に対しては、誹謗中傷など権利侵害に関する削除申請への対応を、7日以内に通知することが義務づけられた。さらに、国外アプリ開発者によるサービスに関し、日本国内のプラットフォーム運営事業者に消費税の納税義務が課せられる制度も開始された。
これらの変更は、インターネット上の権利保護と税収の適正化を図るものであり、企業の対応力が問われる場面も増えてくる。