関税政策への国内対策として財政出動を決定
政府は5月27日、米国の関税強化に対応するための経済対策として、3,880億円の予備費を活用することを閣議決定した。既存予算と合わせた総額は9,000億円にのぼる。対策には家庭の光熱費補助や自治体への交付金が含まれる。
一般家庭の電気・ガス代を最大1,260円支援
今回の支援の主軸は、7月から9月にかけた電力・ガス料金の補助で構成されている。一般家庭では、7月と9月に月額1,040円、冷房による使用量増が予想される8月には1,260円程度の削減が見込まれており、夏季の生活費負担を和らげることが目的とされている。
自治体向けに1,000億円の重点交付金を確保
政府は電気・ガス支援に2,880億円、さらに地域ごとの課題に対応するために、1,000億円の「重点支援地方交付金」を自治体に配分する。LPガス料金の補助など、地域事情に応じた施策が可能となる。
補助縮小の背景に原油価格と円高の影響
今回の支援規模は、2024年夏に比べて縮小されている。背景には、原油価格の下落と円高による電気代の低下がある。過去には断続的に4.3兆円が投入されており、季節ごとの物価高に応じて支援内容が調整されてきた。
環境政策との整合性に課題も残る
火力発電依存のエネルギー体制を支援することから、今回の補助策は脱炭素の流れに逆行するとの指摘もある。経産相は会見で「今回は酷暑対策であり、恒久的な措置ではない」と述べ、生活防衛を優先する姿勢を示した。