デジタルと実店舗の融合戦略を強調
三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、2026年度後半に新たなデジタルバンクを設立する計画を公表した。既存のインターネット銀行とは異なり、AIとビッグデータによる提案機能に加えて、実店舗での対面相談も可能な構想を描いている。リアルとデジタルの双方を活用した新たな金融モデルの実現を目指す。
ウェルスナビと連携し個別資産提案を強化
MUFGは、今年3月に完全子会社化したロボアドバイザー大手・ウェルスナビとの協業を通じて、精度の高い資産運用提案を可能とする。利用者ごとの投資スタイルに応じた対応を強化することで、個人顧客のニーズに合致したサービスを提供することが狙いだ。
スマートアプリ「エムット」を6月に開始
MUFGは6月2日から、新たな個人向け金融サービス「エムット」の提供を開始する予定だ。刷新された三菱UFJ銀行のアプリを通じて、グループ各社のサービスがまとめて利用可能になる。ポイントプログラムも見直され、より効率的にポイントを貯めて使えるようになる見込みだ。
預金獲得競争に備えた攻勢を開始
MUFGの亀沢宏規社長は、都内での記者会見で「ナンバーワンを守るためには攻めが重要」と述べ、預金口座数や資産管理分野での優位性維持に強い意欲を示した。デジタル化とリアル店舗の連携により、顧客基盤の強化と囲い込みを進める方針だ。
業界全体で加熱する個人金融サービスの展開
個人顧客の取り込みをめぐる動きは、他のメガバンクでも加速している。三井住友フィナンシャルグループはPayPayとの連携を進め、みずほフィナンシャルグループは楽天グループとの連携でポイント戦略を展開している。MUFGの今回の発表は、この市場競争における大きな一手といえる。