価格高騰の背景と要因が明らかに
政府はコメ価格の急騰を受け、6月に関係閣僚会議を設置し検証を実施した。その結果、農林水産省が需要減少を前提に需給予測を立て、インバウンド需要増加や国内消費拡大を過小評価していたことが判明した。さらに、高温に伴う白米への精米効率低下も供給不足を助長した。これらの要因が複合し、需給バランスが崩れたと指摘されている。
実際の生産量不足と統計データの公表
政府の統計では、2023〜2024年の生産量は需要に対し40〜50万トン不足し、翌2024〜2025年も20〜30万トンの供給ギャップが確認された。また、全国消費者物価指数によれば、コメ価格は6月に前年同月比100.2%上昇し、5月まで8カ月連続で最高値を更新していた。これらのデータは、明らかな供給逼迫を示している。
政策転換と農業支援の新方針
石破首相は閣僚会議で「生産不足を真摯に受け止める」と述べ、増産促進への政策転換を表明した。耕作放棄地の解消や農地集約化、スマート農業技術の導入を通じて生産性を向上させる方針を提示。減反廃止後も続いていた供給管理的施策を見直し、農業者が積極的に増産に取り組める環境づくりを進めるとした。
備蓄米放出遅延と供給管理の課題
検証結果では、政府備蓄米の放出時期が遅れたことも価格高騰の要因と指摘された。農林水産省が流通実態把握に消極的だった姿勢が供給管理の遅れを招き、需給逼迫を深刻化させた。今後は備蓄管理の改善と迅速な市場対応が求められる。
今後の展望と物価への影響
日本銀行は7月31日の展望リポートで、コメを中心とする食料品価格の上昇が物価全体に影響しているとし、コアCPIの見通しを引き上げた。政府は今後の需要動向を注視しつつ、国内農業の生産力強化と価格安定策を両立させる必要がある。増産政策の具体化が市場安定の鍵を握る。