責任ある財政運営を掲げた初の女性財務相が始動
高市早苗政権の発足に合わせ、片山さつき氏が日本初の女性財務相として就任した。片山氏は21日、首相官邸で記者団に対し、「責任ある積極財政の考え方に基づき、経済・財政運営を進める」と明言した。長年にわたり旧大蔵省で主計官などを歴任した経験を踏まえ、財政再建と成長の両立を目指す姿勢を強調した。
経済成長を最優先課題に掲げる方針が明確に
片山氏は「経済成長戦略で日本経済を強くすることが一丁目一番地」と述べ、成長重視の財政方針を明確にした。特定の企業に恩恵を与える租税特別措置(租特)や高額補助金については、政策効果の低い制度を廃止し、財源の再配分を進める考えを示した。自民党と日本維新の会の連立合意文書にも、これらの制度を総点検する方針が盛り込まれている。
ガソリン税廃止と物価対策に取り組む姿勢
連立政権の合意事項には、ガソリン税の旧暫定税率廃止も含まれる。片山氏は「物価高是正を中心とした総合経済対策が早急に指示され、その中に当然盛り込まれる」と説明。エネルギー価格の安定化を通じて、消費者負担の軽減を図る方針だ。今後の財源確保策として、補助金や租特の見直しが重要な柱となる見通しである。
中低所得者支援策として税制改革を検討
高市首相は片山氏に対し、給付付き税額控除制度の設計を指示しており、社会保険料負担が重い中低所得層への支援が焦点となる。片山氏は「税と社会保障の一体改革」を進める意向を示し、経済格差是正にも取り組む考えを示した。財政健全化と社会的包摂を両立させる政策の実現が課題となる。
為替安定を重視し、日銀には距離を保つ姿勢
為替動向については「ファンダメンタルズを反映して安定的に推移するのが望ましい」と述べた一方、円安水準に対する見解は明言を避けた。日銀の金融政策には「現時点で特段コメントはない」として、独立性を尊重する立場を維持した。片山財務相は、経済成長と財政健全化の両立を掲げつつ、実務家としての手腕を発揮する局面に立っている。
