キャッシュレス決済の普及が加速
日本におけるキャッシュレス決済の利用が大きく拡大している。2024年の決済額は141兆円に達し、消費全体に占める割合は42.8%となった。政府が掲げていた「2025年6月までに4割達成」の目標は、1年以上前倒しで達成される形となった。
この成長の背景には、手数料が比較的低いQRコード決済の導入が進んだことや、クレジットカードの少額決済の増加がある。特に中小規模の飲食店での導入が増加し、消費者の利用が拡大したことが影響している。
クレジットカード決済が全体の8割超を占める
2024年のキャッシュレス決済内訳を見ると、クレジットカードが全体の8割を超える決済シェアを維持しており、前年より11兆2000億円増加した。従来は高額決済に使われることが多かったが、近年では少額決済にも利用されるケースが増えている。
特に、オンラインショッピングや定額サービスでの利用が増え、利便性の向上がキャッシュレス化の加速につながっている。
QRコード決済が急速に拡大
QRコード決済は前年比2兆6000億円増と急速に拡大している。特に中小の飲食店や小売店での導入が進み、手軽にキャッシュレス決済を導入できる点が利用拡大の要因となった。
また、QRコード決済の普及は、キャッシュレス決済に慣れていない層にも使いやすさを提供し、新たな利用者層の拡大につながっている。大手決済サービスの競争も激化しており、さらなる成長が期待される。
電子マネーの利用減少が見られる
一方で、電子マネーの利用額は2000億円減少した。これは、QRコード決済の利便性向上やクレジットカードの少額決済が普及したことが影響していると考えられる。
電子マネーは交通系ICカードなどを中心に利用されているが、他の決済手段の利便性が向上する中でシェアの縮小が進んでいる。
利便性と安全性の両立、今後の課題を考察
政府は将来的にキャッシュレス決済比率を80%まで引き上げる目標を掲げている。しかし、その実現にはいくつかの課題がある。
まず、決済手数料や導入コストの問題が挙げられる。特に中小規模の店舗では、手数料負担が経営の課題となる可能性がある。また、利用者の安全性確保も重要であり、不正利用対策や個人情報保護の強化が求められる。
キャッシュレス決済のさらなる拡大に向けて、事業者と政府の連携が不可欠となるだろう。