不正売買の被害額は半年間で5,700億円超に
金融庁は7月7日、2025年上半期に確認された証券口座の不正売買について報告した。被害件数は7,139件に上り、不正取引額は5,700億円超に達した。これは、インターネットを介した証券取引の急速な拡大とともに、セキュリティ対策の遅れが浮き彫りになった形だ。
6月は前月比で被害件数・金額ともに減少
6月の不正取引が発生した証券会社は7社と、5月の16社から半数以下に減少。件数・金額の両面で縮小傾向が見られた。これは、各社が導入した新たな本人確認手続きやセキュリティ対策が一定の効果を発揮している可能性がある。
フィッシング詐欺が主な手口と判明
不正アクセスの大半は、ユーザーを本物と見間違う偽サイトに誘導し、IDやパスワードを盗むフィッシング詐欺によって実行された。ネット取引に慣れた利用者であっても、この手口に引っかかるケースが相次いでおり、金融リテラシーの再確認が求められる。
不正売却・買い付けの内訳も公表される
金融庁によると、1~6月の不正な売却額は約3,044億円、買い付け額は約2,666億円とされる。売りと買いの両面で大規模な取引が行われており、被害は一部の投資家にとどまらない深刻な広がりを見せている。
証券会社は原状回復措置を検討中
現在、証券業界では多要素認証の必須化が進められており、不正アクセスの抑止に取り組んでいる。一部の企業では、勝手に売却された株式を元に戻す原状回復措置を取る動きも出ており、被害者救済の枠組み整備が進行中である。