裁判で語られた被害規模と経緯が判明
三菱UFJ銀行の貸金庫窃盗事件に関する公判で、元行員 山崎由香理被告 が証言し、起訴状に記された3億9500万円分だけでなく、総額17億~18億円に達する金品を約100人から窃取していたことを認めた。被告は顧客ごとの被害額をエクセルに入力して管理し、将来的に返済する考えがあったと説明した。
投資損失と借金の影響が判明
山崎被告は、2013年に多額の借金を抱えた後、FX投資と競馬に依存する生活に陥った。特に3年前には5億円を超える損失を出し、その穴埋めのため盗みを繰り返したと説明した。投資をやめれば返済できなくなるとの思いが、行為をエスカレートさせたと述べた。
家庭環境の変化が与えた影響が判明
事件発覚後、被告は元夫と離婚し、給与は「小遣い制」で管理される状況にあった。生活費が不足する中で投資を再開し、損失が拡大したことで元夫の現金を流用、さらに顧客の金品へと手を伸ばした。家庭環境と経済的困窮が犯罪の背景に影響を与えたとされる。
銀行への謝罪と弁済不能の現実が発表
法廷で山崎被告は「私のような悪人のために銀行を悪く見ないでほしい」と述べ、金融業界全体への不信を招いたことを謝罪した。しかし、裁判官の質問に対しては「弁済の見込みはない」と答え、被害回復の困難さが浮き彫りとなった。
今後の裁判手続きへの注目が集まる影響
この事件は、金融機関の信頼性を揺るがす重大な事案とされる。検察はFX損失補填を動機として指摘しており、次回の公判では論告と求刑、弁護側の弁論が予定されている。被告の証言が今後の判断にどのように影響を与えるか、注目が集まっている。