両政府が80兆円投資枠組みを確認へ
日米間の関税交渉で合意された5500億ドル(約80兆円)の投資について、両政府は共同文書をまとめる方向に動いた。当初、日本は合意文書の作成に否定的だったが、米側の要求を受けて調整に入った。文書は投資の仕組みを示すにとどまり、法的拘束力を持たせない形で検討されている。
日本政府が方針を転換した背景
日本側が態度を変えた理由には、自動車関税の早期引き下げがある。現在は15%上乗せされた相互関税の影響が企業に重くのしかかっており、特例措置による軽減を図るには文書化に応じることが必要と判断された。国内産業への打撃を回避する狙いが明確に表れている。
米国内への配慮が鮮明に
米政府は、投資合意に対する国内の懐疑的な意見を抑えるため、共同文書による明確化を進めている。ラトニック米商務長官は米メディアで「今週後半に発表がある」と述べ、国内世論への説明責任を果たす姿勢を強調した。これにより、日米双方にとっての合意の実効性が問われる局面を迎えている。
赤沢経済再生担当相の訪米調整
赤沢亮正経済再生担当相は週内にも米国を訪れ、文言の最終調整にあたる見通しだ。これまで日本側は「新たな譲歩を迫られる」との懸念から消極的な姿勢を崩さなかったが、今回は米国の要求に歩み寄る形をとった。交渉の焦点は、文書表現を巡る双方の隔たりをどう埋めるかに移っている。
今後の見通しと発表の時期
合意文書は今週後半に発表される予定で、米国からの公式声明が待たれている。日本としては国内産業への影響を抑えつつ、対米関係の安定を優先する構えだ。巨額投資を巡る共同文書は、今後の日米経済関係を左右する重要な局面となる。