デジタル通貨時代への動きが本格化
三菱UFJ銀行、三井住友銀行、みずほ銀行の3メガバンクが、円などの法定通貨に連動するステーブルコインの共同発行に向けて動き出した。複数の関係者によると、今後数週間以内に実証実験を開始する見通しで、国内金融機関の連携によって新たなデジタル決済インフラの構築を目指す。
法定通貨連動の安定資産を基盤に
ステーブルコインは、円やドルなどの法定通貨と1対1で価値を維持する設計を持つ。裏付けとして銀行預金や国債などを保有するため、価格変動の大きい暗号資産とは異なり安定性が高い。これにより、国内外の資金決済や送金において安全かつ迅速な取引が可能となる。
プログマの技術で共同基盤を構築
3メガバンクは、デジタル資産の取引基盤を提供するプログマ社のシステムを利用する方針を固めている。共通規格を採用することで、各行間での送金や企業間取引を円滑化させる狙いだ。ブロックチェーン技術により、改ざんリスクを最小化しつつ即時決済を実現する体制を整える。
三菱商事が社内決済での実用化を検討
三菱商事もプロジェクトに加わり、自社の資金決済プロセスでステーブルコインを試験的に導入する計画を進めている。関係者によると、社内送金や海外取引の効率化が主な目的であり、決済時間の短縮や為替リスク低減などの効果が期待されている。
金融業界全体での普及を見据える動き
今回の取り組みは、単一行による発行ではなく、大手銀行が共通基盤の整備を主導する点で画期的とされる。今後は地方銀行や他の金融機関への参加も視野に入れており、日本国内でのデジタル通貨エコシステムの形成が加速する可能性がある。
