万博会場から広がる関西観光の動き
大阪・関西万博期間中、会場最寄りの大阪メトロ夢洲駅を利用した訪日客の移動データから、関西圏各地を巡る観光行動が明らかになった。三井住友カードがクレジットカードによるタッチ決済記録を分析したところ、兵庫、奈良、京都といった周辺地域への訪問が多く、関西全体での回遊が活発だった。
米国・サウジ・タイの来訪者が上位に
夢洲駅を利用した海外客のうち、米国人が最も多く、次いでサウジアラビア、タイが上位を占めた。次期万博開催国のサウジからの来訪者も目立ち、国際的関心の高さを裏付ける結果となった。これらの旅行者の一部は、万博後に香川・直島や和歌山・高野山など、文化・宗教に関連する地域を訪れたという。
関西鉄道の利用者が8割増に拡大
三井住友カードの分析では、2025年3月時点で1日平均約7万3千人だった関西鉄道のタッチ決済利用者が、9月には約13万1千人に増加。万博がキャッシュレス化を全面導入したことで、支払い手段としての認知度が一気に広まった。国内利用者が約11万8千人、海外利用者が約1万2千人と、広範な層で利用が進んだ。
鉄道各社への導入拡大と利用定着
2024年以降、関西では阪急電鉄、阪神電気鉄道、近鉄、大阪メトロなどが相次いでタッチ決済を導入。公共交通向け決済システム「stera transit」を通じ、利便性が大幅に向上した。導入初期から1年で月間利用者数は15倍以上に拡大し、地域インフラとして定着しつつある。
万博後も続くキャッシュレス化の波
三井住友カードの担当者は、「万博を契機にタッチ決済が日常的な選択肢として定着した」と述べた。会場内での完全キャッシュレス運用が利用体験を後押しし、訪日客が各地で文化や芸術に触れる機会を広げた。関西発のキャッシュレス推進が、今後の観光・交通分野における新たな標準となりつつある。
