金融庁が制度見直しを検討
金融庁は9月2日、金融審議会作業部会において暗号資産の規制強化をめぐる制度改正の検討を進めた。従来は資金決済法の枠内で決済手段として扱われてきたが、投資商品としての性格が拡大していることから、新たな法的整備が課題となっている。発行者や交換業者に対しては、投資家保護の観点から追加的な情報開示を義務付ける方針が提示された。
発行者と交換業者に情報提供を義務化
議論では、資金調達を目的に発行される暗号資産について、発行者がプロジェクト内容やリスク、関係者情報を投資家に開示する仕組みが提案された。発行者を特定できないビットコインのようなケースでは、交換業者が代わりに開示義務を担う。これにより、投資家が判断する際の情報の透明性を確保する狙いがある。
金商法への一本化で不正抑止
同日の会合では、資金決済法と金融商品取引法の規定が重複することによる事業者負担も議論された。このため、暗号資産の規制を金融商品取引法に一本化し、決済規定は移行して統合する方向性が示された。無登録業者による過剰な投資勧誘やインサイダー取引などを、既存の金融商品規制と同様に取り締まれる仕組みを整える意図がある。
第三者による格付け制度も提案
委員の中からは「独立した第三者機関による格付け制度を導入すべきだ」との意見も出された。これにより、開示内容の信頼性や中立性を高め、不適切な情報開示を防ぐことが期待される。また、発行者の有無で区分せず、包括的に適用できる横断的な規制が望ましいとの指摘もあった。
2026年国会提出を目指す金融庁
金融庁は作業部会での議論を踏まえ、2026年の通常国会に法改正案を提出する見通しだ。投資商品として成長する暗号資産市場において、制度整備を通じて利用者保護と市場の健全性を両立させる方針が確認された。