鉄鋼産業への投資が米国経済に与える波及効果
トランプ大統領は5月23日、自身のSNS上で、日本製鉄とUSスチールのパートナーシップを承認する考えを明らかにした。この協定により少なくとも7万人の雇用が生まれ、経済効果は約2兆円に上ると述べ、国家規模での成長を強調した。
また、トランプ氏は「USスチールが米国にとどまり、ピッツバーグに本社を置き続ける」と明言し、地域経済への貢献にも言及した。
ピッツバーグを象徴とする「最大規模の投資」
トランプ氏は声明の中で、今回の出資がペンシルベニア州で過去最大の規模となると強調。かつて米国の鉄鋼産業を牽引したピッツバーグを象徴的な拠点と位置付け、経済再建の中核に据える構えを見せた。
この動きは、彼の再選キャンペーンにおける地域雇用回復の方針と合致している。
政策転換の背景にある国益と経済保護
2025年1月、バイデン政権は労組の反発を受けて買収を差し止めたが、トランプ大統領は2月の日米首脳会談後に方針を変更し、4月にはCFIUSに再検討を命じたことで今回の承認につながった。
USスチール、トランプ支持に謝意を表明
USスチールは同日、「日鉄との連携によって、企業としてより強く成長できる」との声明を発表。また「トランプ大統領の指導力に感謝する」と述べ、政権との連携姿勢を鮮明にした。
日鉄側の投資は今後14カ月以内に実行される見通しで、具体的な資本構成や経営形態は今後の発表が待たれる。
米国製鉄の回復を掲げる保護主義路線の継続
トランプ氏は今回の決定を「鉄鋼を再び、そして永遠に米国製にする」と訴え、自身の関税強化政策を再主張。
製造業復興とともに、選挙戦を見据えた経済ナショナリズムの姿勢が色濃く反映されている。
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米鉄鋼買収に転じた支持 選挙前のトランプ氏戦略
反対から一転、買収受け入れへと方針転換
2023年に発表された日本製鉄によるUSスチールの買収計画に対し、トランプ氏は当初明確に反対していた。しかし、2025年2月の日米首脳会談を契機に態度を軟化。4月にはCFIUSに再審査を命じ、今回ついに公に支持を表明した。
この一連の動きは、大統領選挙を見据えた対外経済政策の修正と読み取れる。
「米国製鉄の復活」強調に込めた国内重視姿勢
声明でトランプ氏は「鉄鋼を再び、永遠に米国製に」と述べ、鉄鋼業界を象徴的な産業と位置付けた。
海外製品への関税政策を支える象徴的措置として、今回の承認が語られており、自国産業の復興を演出する狙いが透けて見える。
雇用と地域経済への波及効果を最大限に強調
トランプ氏は今回の提携によって少なくとも7万人の雇用が創出され、経済全体に140億USドルの波及効果があると主張。
特にピッツバーグを含む東部地域に対しては、「最大規模の投資」と表現し、地元経済への利益をアピールしている。
USスチールが政権支持を明示
USスチール側はすぐに応答を示し、「日鉄との連携によって企業体制を強化できる」としつつ、「大統領のリーダーシップに感謝」と明言。
企業側も政権との関係性を保つことで、今後の規制環境における安定性確保を狙っているとみられる。
投資実行の時期と今後の展開に注目
日鉄の投資は今後14カ月以内に完了する予定だが、協業内容の詳細は依然として明かされていない。
今後の公式発表やCFIUSの最終判断をめぐり、政界・経済界の注目が集まっている。