仮想通貨が住宅ローン審査に与える変化
米連邦住宅金融局(FHFA)は6月26日、政府系住宅金融機関であるファニーメイおよびフレディマックに対して、仮想通貨を住宅ローン審査の資産評価対象に加えるかどうかの検討を開始した。これにより、従来の「除外対象」であったビットコインやイーサリアムなどが、公式に担保資産として認められる可能性が出てきた。
トランプ政権の方針とパルテ局長の決定
今回の動きは、トランプ政権による仮想通貨振興策の一環として行われている。パルテ局長は、自身のSNSで「米国を仮想通貨の中心地にするというトランプ大統領の構想に従う」と述べた。彼は2025年3月にトランプ大統領から指名されて局長に就任しており、ビットコインとソラナをそれぞれ50万USドル超保有するなど、仮想通貨支持者としても知られている。
過去の審査基準と今回の転換点
これまで米国の住宅ローン審査では、現金貯蓄や上場株式が担保資産として認められていた。一方で、仮想通貨はその高い価格変動性や制度的な不確実性から審査対象外とされていた。しかし近年、民間レベルでは仮想通貨を担保とするローンサービスが出現しており、政策レベルでも柔軟な対応が求められていた。
Figure社と民間の先行事例
米国のFigure社は、2022年からすでにビットコインやイーサリアムを担保とした住宅ローンを提供しており、仮想通貨を不動産金融に活用する事例の先駆けとなっている。また、マイクロストラテジー社のマイケル・セイラー会長は、同社のビットコイン信用評価モデルをFHFAに提案し、制度面での実装可能性に言及している。
制度実現に向けた課題と今後の焦点
現時点では、どの仮想通貨を対象とするのか、審査基準はどうなるのかなどの具体的な情報は示されていない。FHFAによる調査と議論の進展により、今後の金融政策の方向性が左右される見通しだ。住宅金融市場における仮想通貨の正式な地位確立が注目されている。