小売統計が示した米景気の底堅さ
16日に発表された6月の米小売売上高は前月比横ばいとなり、市場予想の0.3%減を上回った。これを受けて、市場では米経済が堅調さを維持しているとの見方が広がった。ただし、利下げの見通しを大きく修正するほどの強さではなく、連邦準備理事会(FRB)の緩和サイクル入りの期待も引き続き残された。
この結果、投資家の間ではソフトランディングへの期待感が高まり、主要株価指数の上昇要因となった。FRBが景気後退を回避しつつ物価を抑え込めるとの期待が、金融市場に安心感を与えている。
債券市場では利回りが大幅に低下
FRBのクーグラー理事が「インフレは2%目標に向けて減速しつつある」と述べたことを受け、年内の利下げ開始を見込む動きが強まった。これに伴い、米10年国債の利回りは前日比で6ベーシスポイント低下し、4.167%と3月中旬以来の水準まで下落した。
2年物国債の利回りは4.409%まで一時的に下がり、利下げ期待が短期金利に反映された。ただし、トランプ氏の再選による景気刺激策や物価上昇への懸念が拭えず、市場では政策の先行きに対する不確実性が意識されている。
株式市場は決算シーズン入りで反応
米企業の第2四半期決算が本格化する中、好業績が相次ぎ、投資家心理を支えた。特に、ユナイテッドヘルス・グループの決算が市場予想を上回り、同社株は6.5%上昇。バンク・オブ・アメリカも予想を上回る内容で5.3%高となった。
一方、ナスダックはエヌビディアやマイクロソフトの下落が重荷となり、他の指数ほどの上昇は見られなかった。ただし、全体としては企業業績の堅調さが好感された格好である。
外為市場と暗号資産にも反応広がる
ドルは主要通貨に対して堅調に推移し、ドル指数は104.31と小幅に上昇。円相場ではドル/円が158.46円まで上昇し、円安基調が続いている。
また、トランプ氏が選挙戦で有利になるとの見方が強まり、暗号資産市場では小幅ながら買いが継続した。政策への期待や規制緩和の可能性が投資家の注目を集めている。
金と原油の明暗が分かれる展開に
FRBの緩和姿勢を材料に、金先物価格は急伸し、1オンスあたり2,467.80ドルと史上最高値を更新した。5月中旬以来の高値圏であり、インフレヘッジとしての役割が改めて注目された。
中国の景気減速懸念が重しとなり、原油価格は3日続けて軟調に推移。WTI8月物は80.76ドルまで下落し、約3週間ぶりの水準に沈んだ。