電動車生産体制を拡充 100億ドルを追加投資
トヨタ自動車は、米国での電動車事業を拡大するため今後5年間で最大100億ドルを投じる方針を発表した。この新たな投資により、同社の米国での累計投資額は約600億ドルとなる。トヨタは長年にわたり米国内での生産基盤を整備してきたが、今回の決定は電池供給体制を強化することで電動化への転換を加速させる狙いがある。
海外初の電池工場「TBMNC」が正式稼働
投資発表に合わせて、ノースカロライナ州に建設した「Toyota Battery Manufacturing, North Carolina(TBMNC)」の開所式が行われた。総投資額は約139億ドルで、稼働後は最大5100人の新規雇用が見込まれる。ここで生産されるリチウムイオン電池は、ハイブリッド車や電気自動車、プラグインハイブリッド車向けに供給される。トヨタにとって、日本国外での電池専用生産拠点はこれが初となる。
米国市場への長期的コミットメントを強調
トヨタ北米CEOの小川哲男氏は、「米国初の電池工場稼働と100億ドル規模の追加投資の発表は、当社の歴史の節目」と述べ、電動化事業の本格拡大を宣言した。また、同氏は「販売店や地域社会、サプライヤーとの関係をより強固にし、米国の持続的成長に貢献する」と強調。トヨタは、単なる生産拡大にとどまらず、地域との共生を経営方針の中核に据える。
現地生産拡大で供給網を強化
米国では環境規制や消費者の嗜好変化を背景に、電動車需要が高まっている。トヨタはこれに対応するため、既存の11の製造拠点に加え、新たな電池供給体制を確立することで生産効率と供給安定性を高める。これにより、ハイブリッド車を中心に電動車の現地生産比率を引き上げるとともに、部品サプライチェーン全体の競争力を向上させる狙いがある。
トヨタの電動化戦略が次の段階へ
トヨタは今後も「マルチパスウェイ戦略」のもとで、ハイブリッド車からEV、PHV、水素車まで多様な技術を併存させる方針を示している。今回のノースカロライナ工場稼働と大規模投資は、その戦略を支える基盤強化の一環といえる。トヨタの米国事業が新たな段階に入ったことで、電動化を巡る国際競争が一層活発化しそうだ。
