米経済指標の改善が東京市場を刺激
9日の東京株式市場では、前週末の米雇用統計が投資家心理を好転させ、日経平均は7営業日ぶりに3万8000円を突破した。非農業部門の雇用者数や平均時給が市場予想を上回り、景気後退への懸念が後退。これを受けた米国株の全面高が、日本市場にも波及した。
円安進行が輸出株の買い材料に
為替市場では円安が進み、ドル円は144円台に到達。これにより、輸出関連株に対する買い圧力が高まり、特に電気機器や半導体関連銘柄の上昇が目立った。円安効果が企業業績への期待を強め、株価上昇に貢献した。
国内経済指標も上方修正で支援材料に
朝方発表された1〜3月期の実質GDP改定値が予想を上回る結果となり、国内経済の底堅さも買いを支える一因となった。複数の支援要素が重なったことで、市場は強含みの展開を維持した。
一部銘柄は治験・好材料で急騰
腎臓病治療薬に関する治験の途中結果が好感され、大塚HDの株価が急騰した。加えて、アドバンテストやNEC、ソフトバンクグループも買いを集めた。一方で、エムスリーやトレンドマイクロには利益確定の売りが入り、軟調に推移した。東証プライムでは814銘柄が上昇し、全体の過半数を占めた。
高値警戒感と利益確定売りの影響も
一時は400円を超える上昇を見せたが、心理的節目を超えたことで利益確定の売りも出やすくなった。後場は上値が重くなる場面もあり、先行きには注意が必要との見方もある。取引代金は3兆4616億円にとどまり、勢いの持続性には慎重な声もある。