米金融政策を巡る不透明感が為替市場に波及
25日の外国為替市場では、米ドルがユーロおよびポンドに対して下落し、ユーロは1.1658ドルと約3年半ぶりの高値に達した。ポンドも1.3659ドルを付け、2022年初以来の水準を回復。これは、FRBが利下げを急がない方針を示すなかで、市場の関心が財政赤字など米国の財政運営の不安要素に向かっていることが影響している。
パウエル議長の発言で利下げ期待は後退
FRBのパウエル議長は、議会上院での証言で「今は利下げを急ぐ状況ではない」と発言し、前日の下院での発言を繰り返した。これにより市場の利下げ期待はやや後退したが、同時に経済の先行きに対する不安も高まった。特に、インフレと成長の両面で明確な方向性が見えないことが、投資家の行動に迷いを与えている。
米国債市場では、特に短期債で利回りの低下が目立った。
債券市場では、10年債利回りが4.287%にやや低下した。政策金利に敏感な2年債利回りも3.773%まで下落。FRBの利下げ時期に対する市場の見方が分かれる中での慎重な動きと見られる。また、米財務省による5年債700億ドルの入札は応札倍率が2.36倍と低調に終わり、金利水準の見極めが難しい状況にあることが示された。
株式市場は方向感に乏しく、IT銘柄が下支え
株式市場は様子見ムードが広がる中、ナスダックは堅調で引けた。エヌビディアは3兆7500億ドルの時価総額を記録し、世界で最も価値ある企業となった。一方、S&P500種は横ばい、ダウ平均は下落とまちまちの展開。テスラ株は欧州販売の不振を受けて3.8%の下落となり、自動車セクターの不透明感が強まっている。
金と原油が反発、資源市場も連動
金先物は1オンス=3343.10ドルで反発。中東情勢の緊迫が後退したことで一時売られたが、割安感からの買い戻しが入った。米原油先物も1バレル=64.92ドルに回復し、米国内の堅調な需要が価格を支えた。これらの動きは、地政学的リスクと景気動向の交差点にある資源市場の複雑な構図を反映している。