国産ミサイルの新たな展開が始動、防衛省が正式発表
防衛省は2025年4月1日、地上から発射する新型長射程精密誘導弾の開発を開始したと明らかにした。この兵器は、艦艇や地上の標的に対する高精度攻撃を目的とし、反撃能力の構築を進める上で重要な装備と位置付けられている。契約先は三菱重工業で、契約額は約323億円。開発の完了は2032年度を予定しており、将来的には日本の防衛戦略における中核を担うとみられる。
三菱重工と契約締結 防衛装備品開発の主力企業が参画
今回の地上発射型誘導弾の開発において、防衛省は三菱重工業との間で2025年3月31日に契約を締結した。契約額は323億円に達し、同社が持つ先進的な誘導技術や兵器開発の知見を活かすことで、国内における技術力の確保と自立的な防衛体制の強化が期待される。開発期間は約7年間で、性能評価や発射試験を段階的に実施する見通しとなっている。
敵基地攻撃能力の一環として整備 政策転換の象徴に
この誘導弾は、武力攻撃を受けた場合に相手国のミサイル発射拠点などを直接破壊できる「反撃能力」の手段として整備される。防衛政策の転換点となるこの方針は、従来の専守防衛を補完する形で策定された。特に近年、極超音速兵器や長射程ミサイルの登場により、従来型の迎撃だけでは十分な対応が難しくなっている。今回の開発は、そのような新たな脅威に対応する一歩といえる。
併行して進む他のミサイル開発 多層的な防衛網を構築
防衛省は、今回の地上発射型誘導弾に加え、複数の国産長射程兵器の開発を進めている。具体的には、潜水艦から発射可能な誘導弾、島しょ防衛用の高速滑空弾の能力向上型、さらに極超音速誘導弾などが挙げられる。これらの兵器は異なる作戦環境を想定して設計されており、組み合わせによって多層的かつ柔軟な防衛体制の実現を目指す。いずれの兵器も日本国内の技術と企業によって開発されており、国産化の推進も重要な側面とされる。
安全保障政策の実行段階へ 国産技術の発展が鍵
今回の発表は、日本の安全保障政策が具体的な装備の整備段階へと移行していることを示す。外部依存の縮小と国産技術の高度化は、持続可能な防衛体制の確立に向けて欠かせない要素である。防衛省は今後も、国産技術を活用した装備開発を推進し、近代化する脅威に的確に対応する体制の構築を進めていく方針だ。