生産規模の将来像を探る大規模アンケートを実施
農水省は6月19日から、国内の稲作農家に対してアンケート調査を行っている。対象は現時点で稲作を営んでいる農家で、調査では今後1年後、5年後、10年後の米の生産量について尋ね、農水省のウェブサイト上での回答を求めている。
長期的な米政策への反映が狙い
この調査は、中長期的な米政策の策定に向けた基礎データを収集することを目的としている。現在、国内のコメ生産量は、生産調整政策の影響により減少傾向にある。農水省はこの実態を踏まえ、将来の需給バランスや農業支援策を再検討する必要があると判断し、全国規模の調査に踏み切った。
小泉大臣「現場の実態把握が不可欠」と強調
小泉進次郎農林水産大臣は記者団に対し、「農家が今後も安心して生産を続けられる環境を整えるには、現場の実情を正確に把握する必要がある」と述べた。さらに、政策の方向性について「『作りたい人が作れる』ような仕組みに転換する場合、農家の意向を知ることが極めて重要」と語り、調査結果を政策に直結させる意向を示した。
生産調整から自由生産への転換に備えた動き
長年続いてきた生産調整政策からの脱却を視野に入れ、政府は新たな農業モデルの構築を進めている。コメの需給管理が難しくなる中で、農家の自由な経営判断を尊重しながら、安定供給と価格維持の両立を図る必要がある。そのためには、農家自身の見通しと意欲に関する定量的なデータの収集が欠かせない。
今後の農政展開に影響を与える可能性
今回の調査結果は、将来の補助金制度や生産支援策の見直しに活用される可能性がある。政府は農業従事者の高齢化や後継者不足といった構造的課題にも対応していく方針であり、今回のアンケートは政策の再構築に向けた第一歩となる。調査の進展とともに、農業政策の新たな方向性が明らかになることが期待される。