長期的管理ルールの導入目指すも交渉難航
富山市で開催された国際会議では、太平洋クロマグロの将来的な資源管理の在り方が主要議題となった。特に、資源量の増減に応じて自動的に漁獲枠を設定する仕組みの導入について議論が交わされた。参加国は制度の透明性と柔軟性の向上に向け、統一的なルールの策定を目指していた。
昨年の合意を受けた追加ルール構築の試み
太平洋クロマグロをめぐっては、過去に乱獲が問題となり、国際的に厳しい漁獲制限が敷かれてきた。昨年の会議では、資源の一定回復を背景に、大型個体に関する漁獲枠の1.5倍増が承認された。今回の会議はその成果を踏まえ、安定した管理体制の構築を図るものであった。
日本は緩和寄り、米国は厳格基準を主張
日本は今回、比較的緩やかな資源量の基準を用いた漁獲枠の設定を求めた。これは、早期の資源増大を見越した柔軟な対応を意図したものとみられる。一方でアメリカや一部の国・地域は、過去の教訓からより慎重な資源評価基準の採用を主張。これにより両者の立場の隔たりは埋まらず、合意には至らなかった。
現行体制維持しつつ来年の合意目指す
交渉は最終的に決裂する形となったが、会議では来年の合意を見据えて引き続き協議を継続することで一致した。現行の資源管理方針と漁獲制限は当面維持される見通しであり、新たなルールの導入にはさらに時間を要することが確実となった。
管理の自動化は実現せず、課題が浮き彫りに
今回の協議では、国際的な漁業資源管理における利害対立の構図が改めて浮き彫りとなった。科学的根拠に基づいた自動調整ルールの整備が進めば、将来の資源変動に対しスムーズな対応が可能となるが、各国の立場の違いは依然として大きい。資源の持続可能性と産業の安定を両立させるための調整は今後も続く。