市が訓練の詳細を把握せず開始されていた実態
沖縄県石垣市の伊野田漁港で行われた米軍の訓練について、市が事前に把握していなかった内容が含まれていたことが明らかになった。訓練は市民の名義で申請され、港湾内の使用を含まない内容だったが、実際には港内での活動が含まれていた。市の許可と実施内容に食い違いが生じたことに対し、地元からの反発が強まっている。
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防衛局が非公開で謝罪、市民からの抗議も相次ぐ
7月16日、沖縄防衛局の職員が石垣市を訪れ、副市長との会談の場で謝意を示した。面会は非公開で行われ、防衛局は「今後も必要な情報の把握に努める」と述べたが、市民への説明は行われなかった。同日、複数の市民団体も市庁舎を訪れ、訓練の事前通知がなかったことに対して強く異議を唱えた。
副市長「市民生活に影響を与える訓練は避けるべき」
知念副市長は、訓練の内容が申請と異なっていた点について「改めて手続きを取り直すよう要請した」と述べ、市民生活に支障を来す訓練は今後避けるよう米軍側に調整を求めたとした。また、今後は個人申請を避け、正式な団体名義での申請を義務付けるよう防衛局に要請したと明かしている。
米軍側は「日本政府と調整済み」と反論
今回の訓練を実施した嘉手納基地の第18航空団は、「日本政府との綿密な調整を経て実施した」と説明している。だが、沖縄県への事前連絡はなかったとされ、過去にも提供区域外での訓練を巡って中止を求められた前例がある。今回も同様に、県は提供区域外であると判断し、訓練の即時中止を求める方針を示した。
提供区域外での訓練が再燃させる住民の不信感
今回の一件は、米軍が申請とは異なる手段で訓練を行い、行政や住民への情報提供が不十分だったことを浮き彫りにした。防衛局と市との連携の甘さも指摘されており、訓練の透明性や地域住民への説明責任が再び問われている。石垣市は今後、訓練の承認プロセスと情報伝達体制の見直しを進めるとみられる。