知事選を巡る支出をめぐる疑惑が決着
2024年11月の兵庫県知事選で、斎藤元彦知事側がPR会社「メルチュ」に約71万5千円を支払った件について、神戸地検は11月12日、不起訴処分を決定した。
地検は支出が「選挙運動の報酬には該当しない」と判断し、公職選挙法違反(買収・被買収)容疑を認めなかった。PR会社の代表も同様に不起訴となり、刑事上の追及は終結した。
SNS業務の性質をめぐる見解の相違
問題の発端は、投開票後にPR会社側がSNS上で「広報全般を任された」と投稿したことだった。
これを受け、弁護士や大学教授らが「戦略的広報業務」に報酬が支払われた疑いがあるとして告発。
しかし、地検と県警の捜査では、支出はポスターやチラシのデザイン制作など、法的に許容される範囲内と認定された。
家宅捜索や関係者の聴取を経て、「報酬性は認められない」と結論づけられた。
不起訴を受けた双方の反応
地検の決定を受け、斎藤知事は「十分な捜査の上で適切に判断された」との声明を発表。
PR会社代表も「不正行為はなかったが、誤解を招いたことを反省している」とSNSで表明した。
一方、告発した上脇博之・神戸学院大教授らはこの判断に異議を唱え、検察審査会への申し立てを予定している。
他の告発案件も不起訴に
神戸地検は今回の判断にあわせ、計7件の告訴・告発をすべて不起訴とした。
その中には、2023年の阪神・オリックス優勝パレードを巡る背任容疑や、稲村和美元尼崎市長陣営への妨害行為なども含まれる。
これにより、斎藤知事を取り巻く一連の刑事疑惑は、ひとまず区切りを迎えた形となった。
一部の案件では捜査続行も
ただし、斎藤知事が疑惑告発文書の作成者に関する情報を漏らしたとされる地方公務員法違反容疑など、一部の事案については捜査が継続中である。
地検は引き続き関係資料を精査し、必要な判断を行う方針を示している。
政治倫理の問題としての波紋は、今後も続く見通しだ。
