日本の半導体産業強化へ向けた新たな一手
経済産業省は2025年3月31日、先端半導体の国産化を目指す「ラピダス」に対し、新たに最大8025億円の追加支援を行うと発表した。これにより、政府の支援総額は1兆7200億円を超えることになる。今回の支援は、2ナノメートル半導体の試作開始を控える同社の事業推進を後押しするものだ。
ラピダス、4月から試作ラインを稼働
ラピダスは、北海道千歳市の工場で2025年4月から2ナノメートル半導体の試作を開始する予定だ。これは、現在世界で量産されていない最先端技術であり、成功すれば国内の半導体産業にとって大きな転機となる。
政府の支援は、製造装置や原材料の調達、生産管理システムの開発、さらには製造技術の確立を目的としている。2ナノメートル半導体の実用化に向けて、技術面・資金面の両方から後押しする狙いがある。
支援総額は1兆7200億円を突破
ラピダスへの政府支援は、これまでも最大9200億円の枠組みで決定されていたが、今回の追加支援により、その総額は1兆7200億円に達する見込みだ。これは日本の半導体産業に対する過去最大規模の公的支援となる。
背景には、米中の技術競争が激化する中、日本政府が経済安全保障の観点から、国内の半導体生産基盤の強化を急ぐ必要があると判断したことがある。
政府、ラピダスの株主化を計画
さらに政府は、ラピダスへの支援強化の一環として、同社の実質的な株主となることを目的とした法案を国会に提出した。この法案が可決されれば、政府は1000億円の追加出資を行い、国家プロジェクトとしての性格を一層強めることになる。
経済産業省は「日本の半導体産業の競争力を高めるために、民間企業と政府が一体となって支援を継続する」としており、今後の展開が注目される。
日本の半導体産業の未来と課題
今回の大規模支援により、日本の半導体産業は新たな成長フェーズに入ることが期待される。しかし、2ナノメートル半導体の量産化には、技術的な課題や国際競争の激化など多くのハードルが存在する。政府の資金支援が国内産業の競争力向上につながるか、今後の進捗が鍵となる。