メタによる過去の買収巡り連邦地裁が判断を公表
米メタが行ったインスタグラムとワッツアップの買収を巡る独禁法訴訟で、ワシントンDCの連邦地裁は18日、原告であるFTCの訴えを退ける判断を示した。裁判所は、これらの買収が市場を不当に支配する結果を生んだとの主張を裏付ける材料は示されていないと指摘した。2012年と2014年の買収を巡る法的争いは長く続いていたが、今回の判断によりFTC側の主張は認められない形となった。
市場支配の有無が焦点となった独禁法訴訟の経緯が判明
FTCは2020年、メタが個人向けSNS市場を事実上掌握し、競争を排除したと主張して提訴した。訴状では、インスタグラムおよびワッツアップの買収が競争の阻害につながったとして是正措置を求めていた。一方、メタは当時からTikTokやYouTubeとの競争が激しく、特定企業が市場を独占する構造ではないと反論していた。市場環境の変化やサービス間の競争が争点として取り上げられ、裁判での重要な焦点となっていた。
裁判所が示した判断基準とFTCの立証の限界が示される
地裁のボースバーグ判事は、SNS市場は新規参入が相次ぎ、機能追加が繰り返されることで明確な市場区分の線引きが難しいとの認識を示した。その上で、メタが現在も独占的な力を保持していると示す証拠はFTC側から提出されていないと結論付けた。この判断は、独禁法適用の基準が新興デジタルサービスにどのように及ぶかを考える上で象徴的な意味合いを持つ。
判決発表後のメタの反応と今後の対応方針を発表
メタは判決を受け、米国内での投資を続ける姿勢を示す声明を公表した。広報担当者は、同社が厳しい競争環境の中にあることが示されたと指摘し、事業活動が利用者や企業にもたらす利益を強調した。今後も政府との協力を続けながら、サービスの拡充や国内事業の強化を進める方針を示している。
FTC側の対応と訴訟構造への影響が注目される状況が続く
FTCは今回の判断に対する公式のコメントを示していない。連邦政府は2020年に提訴しており、その後もデジタル分野の独禁法執行を強化してきたが、今回の判決はその流れに影響を与える可能性がある。SNS市場の特性を巡る議論が続く中、デジタル企業への規制の在り方が改めて問われる状況となっている。
