欧州とインド太平洋の安保は不可分と明言
石破首相は7月23日、首相官邸でEUのコスタ大統領およびフォンデアライエン欧州委員長と対面し、定例の首脳協議を行った。協議では、欧州とインド太平洋における安保環境が密接に関連しているという共通認識のもと、防衛やサイバー安全保障を含む分野での協力を強化する方向で一致を見た。
防衛産業分野で新たな対話枠組みを設置へ
協議では、防衛産業に関する対話の新たな枠組みを創設する方針が示された。これにより、日本とEUは技術協力や生産体制の強化を目指し、相互運用性の向上と防衛力の底上げに取り組むこととなる。両者は機密性の高い情報の共有を可能にする情報保護協定の交渉にも着手するとしている。
経済安全保障で「競争力アライアンス」を始動
自由貿易体制の維持を掲げ、経済安全保障を重視する日EUは、新たな連携枠組み「競争力アライアンス」の設立に合意した。これにより、産業競争力の強化や重要インフラ保護、対中・対米の戦略的立場の共有が加速する見通し。閣僚級の定期協議による実務的連携も盛り込まれた。
希少資源の供給網強靭化で日EUが協力を推進
経済分野では、レアアースを含む重要鉱物のサプライチェーン強靭化に向けて協力を深める方針が確認された。特に中国依存の是正が喫緊の課題とされ、安定的かつ信頼性の高い供給体制の構築に両者が連携することになった。
ロシア・北朝鮮の動きに強い警戒感
安全保障の国際的課題として、ウクライナ支援の継続とロシアに対する制裁の維持が改めて確認された。あわせて、ロシアと北朝鮮の軍事協力への強い懸念が共有され、共同での非難が盛り込まれた。協議全体の成果は共同声明として発表された。