海外事業拡大に向けた戦略的投資が始動
かんぽ生命保険は、米国の投資ファンドKKRが保有する再保険会社グローバル・アトランティック(GA)への20億ドル(約3000億円)の投資契約を締結し、2026年前半に向けた運用開始を計画している。
少子高齢化で縮小する国内市場が背景
日本では少子高齢化により生命保険市場の成長が鈍化している。こうした状況下で、かんぽ生命は収益源の多様化を急務とし、海外事業の拡大を目指している。他の国内生保でも米系企業の買収や出資が相次いでおり、海外展開が業界全体の共通課題となっている。
グローバル・アトランティックとの提携強化
2023年にKKRとGAとの連携を始めたかんぽ生命は、2025年2月に追加投資に関する覚書を締結しており、今回の契約でGAへの出資比率は50%を超える見込みとなり、対象は再保険や年金、さらには戦略的投資案件まで拡大する。
米年金市場の成長が投資判断を後押し
GA幹部によると、米国の退職金市場は過去5年間で年金保険料が倍増するなど急速に拡大している。こうした市場環境がかんぽ生命の投資判断を後押しし、米市場を通じた新たな収益源の確保を狙う動きが鮮明になった。
収益源多様化への取り組みが本格化
谷垣邦夫社長は、今回の投資によって「米年金市場や再保険市場の成長を取り込み、収益源の多様化につながる」と述べた。郵政民営化法による制約下で連結子会社化が困難な中、提携を通じた海外戦略が今後の収益基盤強化に直結すると見られる。