イタリア政府が大規模インフラ計画を発表
イタリア政府は6日、本土とシチリア島を結ぶ「メッシナ海峡大橋」の建設を正式決定した。中央径間は3300メートルとなる予定で、完成すれば世界最長のつり橋となる計画だ。長年にわたり停滞していたこの事業は、メローニ政権の推進により再始動した。
IHIを含む国際企業連合が参画を表明
建設事業はイタリアのゼネコン大手ウィビルドが主導し、日本のIHIやスペイン企業など5社が参加する特別目的会社が受注した。契約総額は106億ユーロ(約1.8兆円)で、鉄道と道路の両方を備えた橋梁および周辺インフラが対象となる。IHIは過去にも同計画に関与した経緯があるが、今回は改めて正式参画を決定した。
世界最長規模の構造と工期の詳細が判明
この大橋は主塔間の距離が3300メートル、幅が60メートル、主塔の高さは399メートルに達し、トルコのチャナッカレ1915橋を上回る規模になる。着工は2025年内を予定し、完成時期は2032〜33年頃と見込まれている。建設費用は推定135億ユーロに上る。
経済効果への期待と安全面の懸念が浮上
サルビーニ副首相兼インフラ・運輸相は、橋の完成によるイタリア南部とシチリアの経済活性化を強調した。一方で、地震リスクを含む安全性や環境への影響についての懸念も依然として指摘されている。特に周辺生態系への影響調査や耐震設計の検証が課題となる。
長年停滞した事業が再始動の背景
この計画は50年以上前に構想が始まったが、政権交代や資金問題でたびたび中止されてきた。2012年に一度中止された後、2023年に事業再開の動きが具体化し、今回の承認に至った。大型インフラ投資を通じた地域発展を狙うメローニ政権の方針が反映された形だ。