首都ワシントンで州兵投入が決定
トランプ米大統領は8月11日、首都ワシントンの治安対策を強化するため、州兵800人を派遣すると明らかにした。対象となるのは大統領の指揮下にある「コロンビア特別区州兵」で、ワシントン警察も連邦政府の直接管理下に置かれる。この発表は、首都の治安悪化を懸念する大統領の姿勢を鮮明にするものとなった。
FBI捜査官も数百人規模で投入
州兵派遣に先立ち、政権は数日前からFBI捜査官を数百人規模で首都に投入している。任務は自動車盗や凶悪犯罪の抑止と捜査支援であり、現地警察との連携が図られる。ただし、FBI捜査官の一部は地域警察業務の経験が少なく、現場運営への影響が懸念されている。
バウザー市長と政権の見解対立
トランプ大統領は、バウザー市長が治安対策を怠っていると批判しており、「首都は暴力的な犯罪者に占拠されている」と強調。一方でバウザー市長は、昨年の凶悪犯罪発生件数が過去30年以上で最低水準だったと反論し、治安の改善を主張している。
犯罪発生率の実態
ワシントン警察の統計によると、凶悪犯罪は2024年に前年比35%減少しており、2025年も7月末時点で26%減となっている。こうした数値は市長の主張を裏付ける一方、大統領の危機感との間で大きな認識の隔たりが存在している。
今後の首都治安政策への影響
今回の決定により、首都の警察権限は連邦政府の管理下に置かれることになり、地元自治体の権限縮小が現実化する。治安回復の効果が出るかどうかは今後の運用に左右されるが、連邦と地方の対立はさらに深まる可能性がある。
