国軍主導の総選挙 12月末開始へ 民主派は強く反発
ミャンマーの国軍が掌握する選挙管理委員会は、総選挙を12月28日から実施すると発表した。国軍トップのミン・アウン・フライン司令官は年末から年始にかけての選挙実施を以前から示しており、今回の発表はその方針を具体化したものとなる。日程は段階的に進められ、治安状況を踏まえて調整される見込みだ。
民主派政党の不在とボイコットの影響
今回の選挙には55の政党が名を連ねるが、最大勢力であった国民民主連盟(NLD)は2021年のクーデターで活動を停止させられた。民主派に属する政党の多くは参加を拒否し、ボイコットを宣言している。結果として、国軍に近い政党が優位に立つことが予想され、選挙の公正性には疑問が残る。
国軍の狙いと「民政移管」演出の実態
国軍は2020年の総選挙結果を不正と断じ、翌年にクーデターを実施した。今回の総選挙は、国軍が主導する政党を勝利させることで、民政復帰を演出し、自らの統治正当性を国内外に訴える意図があるとみられる。非常事態宣言の解除もその一環とされるが、民主派勢力はこれを強く批判している。
武力衝突が続く現地情勢の深刻さ
国軍と各地の武装勢力との衝突は激化しており、選挙実施に大きな障害となっている。東部カヤー州では8月17日、国軍の空爆により住民24人が犠牲になったと独立系メディアが報じた。こうした情勢の中で投票が安全に行えるかは極めて不透明である。
選挙の正当性と国際社会の視線
民主派関係者は「選挙は違法で不正だ」と明言しており、正当性を認めない姿勢を鮮明にしている。国際社会もこの選挙を厳しく注視しており、結果が国軍による統治強化の手段にすぎないとの懸念が広がっている。総選挙が予定通りに行われたとしても、その評価は大きな争点となる。