世界的な利用目標が提示された会議の概要
大阪市で開催された「持続可能燃料閣僚会議」には、ヨーロッパやアジアを含む30を超える国や国際機関が集まり、日本とブラジルが共同議長を務めた。会議の主眼は、バイオ燃料や水素といった環境負荷の低い燃料を世界規模で普及させる方策にあり、各国代表は実情に応じた導入の推進を確認した。
日本とブラジルが示した2035年の目標
日本とブラジルは議長国として、2035年までに世界全体で脱炭素燃料の年間使用量を2024年比で4倍以上にする目標を示した。自動車や航空機の燃料利用に加え、製造業分野にも普及を広げ、化石燃料依存を抑制する方向性が打ち出された。
官民連携と技術活用の重要性
会議では、ハイブリッドエンジンとバイオガソリンの組み合わせなど、自動車分野における技術活用が重要とされた。また、各国の事情を踏まえた普及策や、新興国への技術協力・資金支援についても議論され、エネルギー安全保障や雇用創出に寄与するとの認識が示された。
企業による水素供給網の覚書
会議にあわせ、川崎重工業やトヨタ自動車、独ダイムラー・トラックなど5社が日独間で水素の大規模供給網を構築する覚書を締結した。国際的な企業連携を通じて水素利用の拡大を後押しする狙いが強調された。
COP30に向けた成果の位置づけ
今回の合意内容や成果は、11月にブラジルで開催される国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)で報告される予定だ。日本の武藤経済産業相は、国内でも自動車、航空、産業分野における持続可能燃料導入を拡大すると強調し、取り組みの次の段階に入ったと述べた。
