条約失効を前にロシアが延長案を提示
ロシアのプーチン大統領は22日、安全保障会議で来年2月に期限を迎える米ロ核軍縮条約「新START」について発言した。条約失効後も1年間にわたり規定された核弾頭数や運搬手段の制限を維持する用意があると表明し、アメリカに同様の対応を促した。新STARTは2010年に発効し、両国が戦略核兵器の数を制限する枠組みを提供してきた唯一の軍縮協定となっている。
アメリカ側の初期反応が明らかに
アメリカのレビット大統領報道官は、プーチン氏の提案を「非常に良い」と評価した。しかし、トランプ大統領がどのように応じるかは依然として注目点だ。トランプ氏は7月に、新STARTで定められた制限を失効後も維持する意向を示しており、今回の提案が両国間の対話を前進させるかどうかが焦点となっている。
軍拡競争回避と国際的な影響
ロシアはウクライナ侵攻の長期化に伴い、軍事費負担の増大に直面している。プーチン大統領の今回の姿勢には、米国との軍拡競争を避け、国内経済への影響を抑えたい意図があるとみられる。一方で、条約延長は国際的な核不拡散体制にとっても重要な意味を持つと評価されている。
米国の軍事活動への警戒を表明
プーチン大統領はまた、アメリカのミサイル防衛計画や宇宙空間での迎撃機能の整備案に懸念を示した。これらの動きが新STARTの枠組みを無効化しかねないと警告し、必要に応じて「相応の対応を取る」と強調した。ロシアとしては、既存の戦略的均衡を維持することを最優先としている。
中国も前向きな評価を発表
中国外務省の郭嘉昆報道官は23日の記者会見で、ロシアの提案を歓迎すると述べた。さらに米ロが「検証可能で、不可逆的かつ法的拘束力を持つ形」で核兵器削減を進めるべきだと指摘した。米ロだけでなく国際社会全体に波及する軍縮協議の行方は、今後の安全保障環境に大きな影響を与えることになる。
