約6年ぶりの直接会談で関税引き下げを発表
米国のドナルド・トランプ大統領と中国の習近平国家主席は10月30日、韓国・釜山で会談し、激化していた米中貿易摩擦の緩和策で合意した。両首脳の直接会談は2019年6月の大阪G20以来、約6年ぶり。会談は約1時間40分行われ、米国による対中追加関税の引き下げと、中国によるレアアース輸出規制の一時停止が柱となった。
レアアース問題で「障壁がなくなった」と強調
トランプ氏は会談後、専用機内で同行記者に対し「非常に生産的な会談だった」と述べ、「レアアース問題は完全に解決した」と強調した。中国側もレアアースを含む輸出管理措置を1年間停止することで合意し、米国は報復関税の一部を同期間停止する。これにより、当初11月1日に予定されていた100%追加関税の発動は見送られる見通しだ。
フェンタニル対策で制裁関税を半減
米国は、中国からの合成麻薬フェンタニル流入対策を理由に20%課していた制裁関税を10%に引き下げると発表。中国商務省もこの合意を確認し、「双方は主要な懸案の解決に向けて進展した」と発表した。さらに、中国は停止していた米国産大豆の輸入を再開することにも同意した。
首脳相互訪問の方針も確認
トランプ氏は2026年4月に訪中する意向を示し、その後に習氏が訪米する見通しを明らかにした。訪問地はワシントンまたはフロリダ州パームビーチとみられ、6年ぶりの対面を契機に両国関係の安定化を目指す考えだ。中国外務省は「両国は長期的な利益を重視し、報復の連鎖を避けるべきだ」との習氏発言を伝えた。
ウクライナ問題で協力を表明、台湾は議論せず
会談では、ロシアの侵攻が続くウクライナ情勢についても協議が行われた。トランプ氏は「共に解決に取り組む」と述べ、一定の協力姿勢を示した。一方で、台湾問題については「議題にならなかった」と明かし、地政学的な対立を避けた形だ。両首脳の合意は、世界経済の安定化に向けた重要な一歩となった。
