中国側の発信が続く状況が判明
在日本中国大使館は12月2日、サンフランシスコ平和条約に関する見解をXで公表し、同条約を「不法かつ無効」と記述した。中国は以前から同条約を正当な国際文書として認めておらず、今回の発信もその立場に沿うものと位置付けられる。直近の首相発言に反応した投稿が連続していることから、中国政府が問題提起を継続している点が大きな特徴となっている。
首相発言への批判が相次ぐ状況
高市早苗首相は11月26日の党首討論で台湾の法的扱いに言及し、日本が同条約で台湾に関する全権を放棄した事実を挙げ、「日本は台湾の法的地位を判断する立場にない」と説明した。この発言を受け、中国外務省は11月27日の会見で強い不満を示し、同条約が当時の主要戦勝国を排除して締結されたと指摘したうえで、高市氏の答弁に直接言及し批判した。翌日以降も同様の主張が繰り返され、外交面で緊張が増している。
条約の位置付けをめぐる主張が対立
サンフランシスコ平和条約は1951年署名、1952年発効で、日本の戦後処理に関する中心文書とされてきた。一方、中国は長年この条約に参加していない点を理由に効力を認めず、台湾問題を語る根拠とすることに否定的である。日本政府は台湾の帰属を明示しない同条約の存在を踏まえ、国際法上の位置付けとして取り扱ってきたが、中国側の解釈とは一致していない。
日中共同声明との関係が焦点に
1972年の日中共同声明では、中国が台湾を「不可分の領土」と表明した一方、日本はその立場を「十分理解し尊重する」と記述し、必ずしも同意する形を取らなかった。この構造は現在も維持され、日本政府は同声明とサンフランシスコ条約の双方を踏まえた対応を続けている。今回の中国側の発信は、声明の文言解釈にも関連し、台湾をめぐる日中間の溝が改めて表面化した。
今後の外交環境への影響が注目
一連の主張は台湾情勢を背景とした外交上の動きの一部とみられ、日中間の情報発信が増加している。日本は現行の政府見解を維持し、中国は条約無効を繰り返す構図が続く可能性が高い。台湾を含む地域情勢が緊迫する中、双方の姿勢が外交関係にどのように影響を与えるかが重要な論点となりつつある。
