過去最高業績と株価上昇を株主に報告する
TSMCは6月4日、台湾・新竹で株主総会を開催し、魏哲家会長兼CEOが過去1年の成果を説明した。魏氏は、売上高と1株当たり純利益が過去最高に達したと述べた。株価も大きく上昇し、2025年6月3日の950台湾元から、2026年6月3日には2425台湾元となった。
この上昇率は150%を超える水準である。AIの普及が進む中、先端半導体を生産するTSMCへの需要が高まったことが背景にある。魏氏は、同社の技術力と製造能力が顧客の成長を支える基盤になっているとの考えを示した。
AI時代の製造能力が企業価値を押し上げる
魏氏は、人工知能がさまざまな分野で力を発揮する時代に入ったと指摘した。AI向け半導体の重要性が増す中、TSMCの最先端技術と量産能力は引き続き価値を高めると説明した。今後も研究開発と生産能力の拡充に投資し、顧客企業の事業拡大を支える方針を示した。
半導体市場では、先端品を安定して供給できる企業の役割が大きくなっている。TSMCは世界最大手の受託製造企業として、顧客からの需要に対応する体制を整えている。魏氏の発言は、AI需要を成長の中心に据える同社の方向性を示すものとなった。
東京エレクトロン問題は取引継続で対応する
株主総会では、東京エレクトロンとの関係についても質問が出た。同社の台湾子会社は、TSMCの機密情報の不正取得に関わり有罪判決を受けている。株主からは、東京エレクトロンをサプライヤーのリストから除外する考えがあるか問われた。
魏氏は、取引を継続する方針を示した。今回の件について、会社の方針として違反したものではなく、社員個人の過ちとして受け止めていると説明した。法的制裁を受けたことにも触れた上で、東京エレクトロンは今後も重要な供給元であり続けるとの見方を示した。
従業員賞与と社会的責任を同時に重視する
一部で従業員の賞与が削減されるとの情報が流れたことを受け、株主から社員支援を求める声が上がった。魏氏はその意見に同意し、賞与は2023年から2025年にかけて毎年30%ずつ増加したと説明した。2026年についても、増加率は30%を超える見込みだと述べた。
同時に、企業の持続的な発展には従業員や株主への対応だけでなく、社会的責任を果たす必要があると強調した。TSMCは台湾で土地、水、電力を大規模に使用している。電力消費は台湾全体の10%近くに及び、税収の25%を支えていることから、社会に対する責任をさらに重く受け止める必要があると述べた。
半導体需要と人材確保が今後の焦点となる
魏氏は、台湾の出生率が低いことにも触れた。将来的にエンジニアや技術者の不足につながる恐れがあるとの懸念を示した。TSMCの成長には、先端技術や生産設備だけでなく、専門人材の確保も欠かせない。
競争面では、米インテルや韓国サムスンなどを念頭に、勝ち続けるための努力を続けると述べた。半導体需要は今後も続くとの見解を示し、TSMCは技術力、顧客対応、信頼性を通じて機会を確保していると説明した。株主総会での発言は、成長、取引関係、社会責任、人材課題を同時に示す内容となった。
