相互攻撃停止に至る経緯が明らかに
イランとイスラエルは6月8日、互いへの攻撃を停止したと表明した。両国は前日から砲撃とミサイル攻撃を交わしており、4月に米国とイランの一時停戦が発効して以降、最も直接的な武力衝突となった。今回の応酬は、レバノンで続くイスラエル軍と親イラン組織ヒズボラの戦闘を背景に発生した。
イランは6月7日深夜、イスラエルによるベイルート郊外でのヒズボラ攻撃への報復として、イスラエル領内に向けてミサイルを発射した。これに対し、イスラエルはイランの防空システムや、弾道ミサイル製造に関わるとする石油化学施設を攻撃した。双方の攻撃停止表明後も、イランはイスラエルがレバノンで攻撃を続ける場合、再び行動すると警告している。
米大統領の要請が双方の判断に影響
ドナルド・トランプ米大統領は、イスラエルとイランに対し、直ちに攻撃を停止するよう公に求めた。トランプ氏はSNSで、和平に向けた最終交渉が進行していると述べ、停戦を妨げる行動を避けるよう訴えた。米ホワイトハウスは、トランプ氏がベンヤミン・ネタニヤフ首相と電話で協議したことを認めている。
トランプ氏は米メディアの取材で、ネタニヤフ氏に対し、イランとの戦争に戻れば孤立する可能性があると伝えたと説明した。一方、イスラエル側は、両首脳の会話は協力的なものだったとし、圧力があったとの見方を否定した。ネタニヤフ氏はテレビ演説で、イスラエルには完全な自衛権があり、必要に応じて行使していると述べた。
石油施設攻撃とミサイル応酬の実態
イスラエル軍は、イラン南西部マハシャールの石油化学施設を攻撃したと発表した。この施設では弾道ミサイル用の化学物質が製造されていたと説明している。イラン側の報道によると、この空爆によりマハシャールで14人、テヘランで1人が負傷した。
イランのイスラム革命防衛隊は、イスラエル北部ハイファ周辺にある同種の施設をミサイルで攻撃したと発表した。イスラエル当局によれば、イランは6月8日朝にもエルサレム、中部、南部に向けてミサイルを発射した。ロイターは、双方の当局から死者の報告はないと伝えているが、BBCはイラン国内で負傷者が出たと報じている。
レバノン情勢が停戦維持の焦点に浮上
今回の攻撃停止後も、レバノンでの戦闘は続いている。イスラエルは、米国とイランの停戦とは別の問題としてレバノンでの作戦を扱う姿勢を示している。レバノン保健省は、南部ティールでのイスラエル軍の空爆により5人が死亡し、8人が負傷したと発表した。
ヒズボラは、レバノン南部にいるイスラエル軍の兵士と車両を標的に、多数のロケット弾を発射したと明らかにした。イスラエルとレバノンは米国仲介の停戦で合意しているが、敵対行為の終結には至っていない。イランは以前から、米国との合意にはレバノンでの戦闘停止が含まれるべきだとしてきた。
報復警告が残る中で外交協議が継続
国連のアントニオ・グテレス事務総長は、全ての関係当事者に最大限の自制を求めた。情勢をさらに悪化させる行動を控えるよう呼びかけており、地域全体の不安定化を防ぐ外交努力が続いている。イラン外務省は、米国との間でメッセージのやり取りが行われているものの、極度の不信があると説明した。
一方、イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、紅海でイスラエル船舶の航行を阻止すると表明し、イスラエルに向けてミサイルを発射したと発表した。イスラエル軍は、エイラート地域で警報が鳴った後、イエメンからの不審な飛行物体を迎撃したと明らかにした。攻撃停止は表明されたが、レバノン、紅海、米国とイランの協議を巡る複数の要因が、停戦維持の課題として残っている。
