AI半導体需要を追い風に四半期業績が急拡大
半導体受託生産で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)は7月16日、2026年4~6月期の決算を公表した。AI関連用途で使われる高性能半導体の販売が伸び、売上高と最終利益はいずれも3カ月単位の決算として過去最高に達した。世界的なAI開発競争に伴う先端製品への需要が、同社の収益を大きく押し上げた形となった。
TSMCは米アップルやエヌビディアなどを主要顧客に持ち、幅広い企業から半導体の製造を受託している。今回の決算では、AI向け製品を中心とする先端分野の強さが改めて示された。会社側もAI関連需要について非常に強い状態が続いているとの認識を示している。
売上高と最終利益がそろって過去最高を更新
4~6月期の売上高は、前年同期比36.0%増の1兆2703億台湾ドルとなった。日本円換算では約6兆4000億円から6兆4100億円に相当する規模で、四半期として過去最大を記録した。前年の同じ時期を大幅に上回り、旺盛な半導体需要が売り上げに反映された。
最終利益は77.4%増の7065億台湾ドルに拡大した。日本円では約3兆5600億円となり、売上高と同様に過去最高を塗り替えた。利益の伸び率は売り上げの増加率を大きく上回り、AI向けをはじめとする高付加価値製品の販売拡大が収益性の向上につながったことがうかがえる。
先端半導体の販売拡大が大幅増益をけん引
業績を支えた中心的な要因は、AIシステムに用いられる先端半導体の好調な販売だった。生成AIやデータ処理に必要な高性能製品への注文が広がり、TSMCの製造技術に対する需要が高い水準で推移した。AI分野の成長が同社の事業規模だけでなく、利益の拡大にも直結した。
魏哲家会長兼最高経営責任者は決算説明会で、AI関連の需要が極めて力強いとの見方を示した。顧客企業によるAI向け設備やサービスへの投資が続く中、最先端製品の供給を担うTSMCの役割は一段と大きくなっている。今回の数字は、AI市場の拡大が実際の半導体生産と収益に波及していることを示す結果となった。
7~9月期も堅調な需要と2ナノ量産を想定
TSMCは2026年7~9月期についても、半導体需要が安定して推移すると見込んでいる。4~6月期に確認されたAI向け製品の勢いが続くことを想定しており、次の四半期も良好な事業環境が維持されるとの見通しを示した。急速に拡大するAI関連市場が、引き続き業績を下支えする構図となる。
さらに、最先端の2ナノ半導体について、量産規模の拡大が収益に寄与するとしている。半導体の微細化は処理性能や電力効率の向上につながるため、AI関連の高度な計算処理を支える重要な技術となる。TSMCは先端製造技術の投入を進め、増加する顧客需要への対応力を高める方針だ。
最高益を基盤に先端分野の成長路線を継続
TSMCの4~6月期決算は、AI向け半導体市場の拡大を背景に、売り上げと利益の双方が過去最高となる大幅な増収増益だった。特に最終利益が前年同期から77.4%増加したことは、先端製品の販売拡大が同社の収益構造を強く押し上げていることを示している。
今後は2ナノ半導体の生産拡大を進めながら、堅調な需要への供給体制を整える。AI関連製品の需要が強い状態にあるとの会社側の認識を踏まえ、7~9月期も先端半導体を軸とした事業展開が続く。過去最高の業績を達成したTSMCは、製造技術と生産能力の両面で成長を支える体制を強化する。
