秋田市で国内最大級のAI基盤整備計画が浮上
秋田市で、人工知能の処理に対応する国内最大級のデータセンターを整備する計画が進められている。建設費は約2兆円に上り、AIの学習やサービス運用に必要な大量の計算を担う施設として、2030年代前半の稼働を目指す。
事業主体となるのは、秋田市に本社を置くIT関連企業のエスツーと、米デラウェア州に本社を置くAIスタートアップのBITGRITだ。計画が実現すれば、秋田に大規模なAIインフラが置かれることになり、地域の産業構造にも影響を与える事業となる。
建設費2兆円規模で2030年代前半の稼働へ
建設予定地として、秋田市下新城の県立大学秋田キャンパス南側に位置する工業団地などが検討されている。周辺では再生可能エネルギー分野の企業誘致に向けた土地造成が進んでおり、大規模データセンターの立地候補となっている。
計画されているデータセンターの電力使用量は最大500メガワットとなる。高性能なコンピューターを多数設置するAI向け施設は大量の電力を必要とするため、安定した供給体制の確保が計画を進めるうえで重要となる。
資金面では、アラブ首長国連邦などが投資する方向で協議が行われている。事業規模が極めて大きいことから、海外からの投資を含めた枠組みづくりが実現の鍵を握る。
県が誘致実現へ関係者との協議を本格化
秋田県の鈴木健太知事は8月6日、計画を主導する企業などとの調整を進めていることを明らかにした。正式決定には至っていないものの、協議について前向きな手応えを得ているとの認識を示した。
鈴木知事は、プロジェクトの実現に向け、県として可能な支援を行う姿勢を強調した。企業や投資関係者との調整に加え、立地条件やエネルギー供給など、事業を具体化するための環境整備を後押しする方針だ。
鈴木知事と秋田市の沼谷純市長は、エスツーの須藤晃平社長を通じてBITGRITの向縄嘉律哉CEOと知り合い、これまで構想について協議を重ねてきたという。
再生可能エネルギーと水資源が立地を後押し
秋田県は長年、風力発電をはじめとする再生可能エネルギー事業に取り組んできた。鈴木知事は、こうした取り組みが大規模データセンターの誘致計画につながったとの受け止めを示している。
データセンターでは、サーバーを動かすための電力に加え、機器を冷却する設備も欠かせない。県は再生可能エネルギーの供給環境や豊富な水資源などを秋田に立地する利点として示し、投資関係者との信頼構築につなげる考えだ。
8月19日には、UAEのシハブ・アルファヒーム駐日大使らが秋田を訪れる。鈴木知事や沼谷市長と面会するほか、建設候補地を視察する予定で、事業化に向けた重要な協議の機会となる。
関連産業の集積を見据え地域への波及を追求
秋田市の沼谷市長は、洋上風力発電とデータセンターには高い親和性があるとの見方を示した。大規模施設の整備によって、電力を供給する事業だけでなく、システム運用や通信、保守管理などの関連分野にも効果が広がることを期待している。
県も、施設の建設によって生まれる一時的な需要だけでなく、AI関連産業の継続的な集積につなげる必要があると位置付ける。データセンターを核として、企業進出や新たな事業展開を促せるかが今後の焦点となる。
計画は企業や投資家との協議段階にあるが、行政側は実現に向けた支援姿勢を明確にしている。国内最大級のAIインフラ構想を地域の産業成長へ結び付けられるか、今後の調整が注目される。
