食料品減税へ政府与党が制度設計の具体化を加速
政府・与党は、2027年4月から2年間にわたり食料品の消費税率を1%とする方針を踏まえ、実施に向けた細部の検討を進めている。8月25日には自民党税制調査会が幹部会合を開き、事業者や農業従事者への影響を抑えるための対応策を議論した。政府は8月5日に基本方針を閣議決定しており、中低所得者には1%相当分を給付することで負担を実質的にゼロとする仕組みも盛り込んでいる。1%分の税収は年間約6000億円と見込まれ、その規模を現金給付に振り向ける考えだ。
総額表示の特例措置で値札変更の負担軽減を検討
大きな論点の1つが、税込み価格を表示する「総額表示」への対応だ。税率変更に伴って小売店などでは多数の値札や価格表示を修正する必要があり、現場からは準備期間が足りないとの声が出ている。政府は、直ちに表示変更を行うことが難しい場合に限り、一定期間は総額表示を求めない特例を設ける方向で調整している。税率変更前に結ばれた定期販売などの契約についても、税率をめぐる混乱を防ぐため経過措置を設ける方針だ。減税開始時の事務作業を軽くし、2027年4月の移行を円滑にする狙いがある。
農家の税負担増を給付金で補う支援案を検討へ
農業分野では、軽減後の税率と仕入れ時に支払う税率との差が課題となる。農産物の販売時に受け取る税相当額は現在より7%分少なくなる一方、農機や肥料の購入にかかる10%の負担は変わらない。このため、中小規模の農家では手取りが減ることになり、政府・与党は売上高などを踏まえた給付金で負担を補う案を検討している。木原官房長官は、仕入税額控除の還付を受けられない農業従事者などへの影響を見極め、過去の支援策も参考にしながら予算編成の中で具体化する考えを示した。
外食産業には省力化や持ち帰り支援策を模索へ
外食業界への影響も制度設計上の焦点となる。弁当や総菜など持ち帰りの商品は税率が8%から1%に下がる一方、店内での飲食は10%のままとなるため、価格差が広がる。政府・与党は客足への影響を抑えるため、セルフレジ導入などの省力化や、持ち帰りサービスを始める店舗への支援策を探っている。現在、軽減税率の対象となっている食料品を基本的な減税対象とする一方、週2回以上発行され定期購読契約がある新聞は対象から外し、現行の8%を維持する方向で調整が続いている。
9月半ばの税制改正大綱取りまとめを目指す方針
政府・与党は9月半ばまでに税制改正大綱をまとめ、秋に想定される臨時国会へ関連法案を提出する方針だ。自民党は連立を組む日本維新の会と大綱策定を進めており、小野寺五典税制調査会長は9月半ばの閣議決定を目指す考えを示している。一方、減税による財政への影響は国と地方を合わせて2年間で約10兆円規模となる見通しで、代替財源の具体化は年末に先送りされる。減税終了後の2029年度からは所得連動型の新たな給付制度を本格導入する方向で、制度の移行を含めた具体的な設計が今後の焦点となる。
