2027年春闘で賃上げ要求の基準を引き上げ
日本労働組合総連合会(連合)は10月22日、2027年の春季労使交渉に向けた基本構想を公表した。定期昇給を含む賃金改定について、6%を中心としながら、少なくとも5%以上を求める方針を打ち出した。
連合が5%以上の賃上げを掲げるのは2024年から4年連続となる。ただし、今回は6%という数値を要求の中心に据え、5%を下限として位置付けた点が従来と異なる。
基本給を一律に引き上げるベースアップについては、3%以上を求める考えを示している。国際情勢の不安定化によって経済の先行きが不透明な状況でも、賃金改善を継続する姿勢を明確にした。
過去3年間の賃上げ実績と要求方針の変化
連合は2024年春闘で5%以上を要求水準として設定した。その後、2025年には目標達成を重視する方針を示し、2026年には実現に向けた姿勢をさらに強めていた。
実際の平均賃上げ率は、2024年が5.10%、2025年が5.25%、2026年が5.01%だった。2026年は前年を0.24ポイント下回ったものの、3年連続で5%を超える結果となった。
2026年の賃金上昇額は月額平均1万6400円に達した。一方、過去3年間の要求水準はおおむね6%前後で推移しており、実際の妥結率との間には差があった。
2027年は要求の中心値を明示することで、これまでの交渉方針を数値面から整理した形となる。
中小労働組合には6%以上の賃上げを要求
企業規模による賃金格差の縮小も、今回の基本構想における重要な課題となった。連合は組合員数300人未満の中小労働組合に対し、前年と同じく6%以上の賃上げを求める方針を維持した。
2026年春闘では、中小組合の平均賃上げ率は4.69%、月額では1万2866円だった。全体平均の5.01%を0.32ポイント下回り、金額でも月額3534円の開きが生じた。
大企業を中心に高水準の賃金改定が実施される一方、中小企業では同程度の引き上げに至っていない状況が数字に表れている。
連合は企業規模だけでなく、産業ごとの賃金水準にも違いが残っていることを課題としている。
2030年までに賃金15%引き上げる中期目標
今回の構想には、毎年の春闘要求とは別に、中期的な賃金改善を進めるための新たな目標も盛り込まれた。2030年を目安として、賃金を現在の水準から15%程度増やすことを目指す。
連合は、海外の主要国で賃金が年間1〜2%程度上昇している状況を踏まえ、日本でも物価変動を除いた賃金の改善を継続する必要があると指摘した。
具体的には、日本全体の実質賃金について、年間1%以上の改善ペースを維持する考えを示している。
さらに、国内の生産性を高めることで、賃金上昇の速度を中期的に引き上げる必要性も強調した。
年内の正式決定を経て産業別の労使交渉へ
連合は2027年春闘の基本構想を踏まえ、12月の中央委員会で正式な闘争方針を決定する。その後、自動車や電機などの産業別労働組合が、それぞれの状況に応じた具体的な要求内容をまとめる。
各企業の労働組合も連合の方針を参考にしながら、経営側との交渉に向けた準備を進めることになる。
日本銀行は、物価上昇率を持続的かつ安定的に2%とする目標の達成に向け、賃金と物価が相互に上昇する経済環境を重視している。
2027年春闘では、6%を中心とする要求に対して企業側がどの水準で応じるかに加え、賃上げの動きが中小企業や非製造業まで広がるかが重要な焦点となる。
